国会質疑 Interpellation

2021年3月23日 参議院 政府開発援助等に関する特別委員会 予算委嘱審査

質問内容

・女性差別撤廃委員会からの勧告文書の非公開問題について

・在朝被爆者の救済について

議事録

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第204回国会 参議院 政府開発援助等に関する特別委員会 第3号 令和3年3月23日

○高良鉄美君 トリになりましたが、沖縄の風の高良鉄美でございます。
 少数会派ですが、御配慮をいただきましてありがとうございます。茂木大臣には初めて質問をしますけれども、よろしくお願いします。
 私は法務委員会の方に所属しておりますので、どの大臣にも法の支配について御認識を伺ってまいりました。茂木大臣は、所信で法の支配について言及されています。自由で開かれたインド太平洋あるいはODAといったことにも法の支配、このルール・オブ・ローが関連していると思います。
 そして、その法内容の適用、適正だけじゃなくて、手続の公正も要求されます。この法の適正手続、デュー・プロセス・オブ・ローが貫徹される社会、そしてSDGsの誰一人取り残さない持続可能で多様性と包摂性のある社会であることを願いつつ質問いたします。
 まず、外交文書の取扱いについてお伺いします。
 国連女性差別撤廃委員会は、二〇一六年二月の第七回、第八回、日本政府報告審査の最終見解でフォローアップ報告を日本政府に求めました。日本政府が提出したフォローアップ報告に対し、女性差別撤廃委員会は、今日資料で配っております英文のですけれども、二〇一八年十二月十七日付けで評価文書を送っています。
 ところが、この文書を外務省も内閣府もウエブサイトで公表していなかったため、昨年九月十八日、私の事務所の方で外務省から取り寄せました。その際、外務省からは、英文の公表も仮訳の予定もないということでした。そこで、三月十五日に外務省と内閣府男女共同参画局に来ていただき、国連からの文書が公表されていないことについて尋ねました。
 昨日の法務委員会で、外務省が所管の内閣府男女共同参画局に報告したのが三月十五日、先週だったということが分かりました。内閣府男女共同参画局は外務省から報告を受けた翌日十六日に公表したということですが、二年以上も遅れて報告したことは国連からの公式文書の勧告を軽視していると言わざるを得ません。また、国民の知る権利の観点からも極めて重要な問題だと思いますけれども、大臣の見解と今後の対応についてお伺いします。
○国務大臣(茂木敏充君) まず、高良委員の御指摘に感謝を申し上げるところであります。御指摘の点については御指摘のような状況であったとの報告を受けておりまして、外務省に届いた情報を関係省庁であります内閣府に対して迅速に共有すべきであったと思っております。
 国民の知る権利の観点からも政府のホームページに公表されていなかったことは問題であると考えておりまして、事務方に対しても、迅速に情報を共有すること、またそういった情報についてしっかりと公表すること、今回のようなことが二度と起こらないようにしっかり今指導したところであります。
○高良鉄美君 大臣からの御答弁、本当ありがとうございます。これからもこういった面では非常に重要な問題だと思います。
 憲法学では、法の支配の内容を人権保障、それから憲法の最高法規性、司法権の重視、適正手続の保障としています。先ほどお尋ねした問題というのは、まさにその適正手続に関わる重要な問題であるということを申し上げて、次の質問に参ります。
 在外被爆者の救済についてお伺いします。
 広島、長崎で被爆した方の十人に一人は朝鮮半島出身者ですが、その事実もその理由もほとんど知られていません。戦後、朝鮮半島に帰国した被爆者は二万三千人に上ると言われています。最高裁は、二〇一五年九月八日、韓国在住の被爆者が同国で受けた医療費に対して、被爆者援護法の規定を適用して医療費の支給を認める判決を言い渡しました。日本人であろうと外国人であろうと、日本にいても外国にいても被爆者に変わりはなく、救済されなければならないということです。
 朝鮮民主主義人民共和国、いわゆる北朝鮮に居住する被爆者などは、まだ救済されていない方が今なお存在しています。
 二〇〇一年三月十三日から十七日まで、外務省アジア大洋州局の佐藤重和参事官を代表として、原爆医療の専門医師二人と外務省と厚労省の職員による在北朝鮮被爆者実態調査代表団が訪朝し、聞き取り調査と医療施設の視察を行ったと承知しています。これが資料の一番最後のやつです。そこには、帰国後、外務省は、今すぐ、韓国と同じではないけれども、人道支援として考えていきたいとの考えを示して、外務省が対応していくということが表明されたと承知しています。
 被爆者に残された時間は僅かで、一日も早い救済が必要です。誰一人取り残さないどころか、もう誰一人救済できなかったとならないよう、政府が北朝鮮に約束された、まさに合意された対応を緊急にされる必要があると思いますけれども、大臣の見解をお聞かせください。
○国務大臣(茂木敏充君) 御指摘の点に関して、被爆者が放射能による健康被害を受けたという点で、重要な人道上の問題であると考えております。
 政府としては、引き続き、本件が重要な人道上の問題であることを踏まえ、被爆者援護法、御案内のとおり厚労省の所管でありまして、厚労省を始め関係省庁との間で緊密に連携しながら適切に対応していきたいと思います。
○高良鉄美君 適切な対応いろいろあると思いますけれども、厚労省だけじゃなくて、やっぱりこれ、今ちょうど外交の問題として、非常に今、日朝間、国交がない中であると思うんですけれども、先ほどの資料ですね、資料にあったのは国交のない時代に行っているわけです。やっぱり被爆者はそういった面で、これ二〇〇一年の話ですから、もう二十年前にそういう調査があってお話があったということですね。
 菅総理を始め多くの閣僚が、今回の所信等にもありますけれども、誰一人取り残さないと言われますが、法や制度のはざまで取り残されている人は少なくありません。
 沖縄戦の戦没者の遺骨が今も収集されている本島南部、沖縄本島南部の土砂が新基地建設の埋立てに使われようとしているということに、ハンストで現在、首相官邸前で金武美加代さんが抗議をしていらっしゃいます。また、沖縄県内の市町村議会では、遺骨の交じった土砂を基地建設に使うことに反対の意見書が可決され、沖縄県議会でも近く可決されると聞いています。
 過剰な基地負担を強いられている沖縄県民が本土から取り残されることのないように強く求めて、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございます。