2020年6月3日 参議院 東日本大震災復興特別委員会 復興庁設置法改正案質疑
質問内容
・男女共同参画の視点から防災・復興について
・全国の男女共同参画センターあるいは女性センターの充実について
議事録
第201回国会 参議院 東日本大震災復興特別委員会 第7号 令和2年6月3日
○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美でございます。
今回、先ほど来ずっとこの改正問題についていろんな御注文もありましたし、復興庁、是非、この十年もう本当に突っ走って、これまでの課題も含めて、大きく前進していただけることを期待しています。
私は今回の復興庁の設置期間十年ということを延長することについては賛成しているところですけれども、衆議院で二十五もの附帯決議が付されました。附帯決議の数が多いということは、これだけ懸念も多いということを示していると思うんです。田中大臣からはこの附帯決議の趣旨を十分に尊重するとの発言がございましたが、参議院の方の今日の議論も含めて十分に尊重されることを期待し、本日はちょっと別の視点で、男女共同参画の視点から防災・復興についてお伺いします。
内閣府の男女共同参画局が、これほやほやですけれども、先週の金曜日、五月二十九日に、災害対応力を強化する女性の視点、男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン、これを発表したわけですけれども、本日は、その一部を資料として、内閣府の男女共同参画局から出しているものをお配りしております。
このガイドラインを作成した経緯をお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(伊藤信君) お答え申し上げます。
女性の視点からの防災・復興につきましては、平成二十五年に取組指針を策定いたしまして取組を進めてまいりました。しかし、策定から、昨年の段階でございますけど、六年が経過をいたしまして、その指針の策定後に生じた地震や台風、豪雨災害の状況を踏まえた改定が必要であるというふうに考えました。昨年六月に決定いたしました女性の活躍のための重点方針二〇一九にもその旨を盛り込んだところでございます。
そして、その後、昨年十月に男女共同参画の視点からの防災・復興の取組に関する検討会を立ち上げまして、これまでの災害における課題などを把握した上で内容の充実や活用促進策を検討いたしまして、今年の三月に検討会としましてそのガイドラインの案をまとめていただきました。その後、四月にパブリックコメントをしまして、そこでいただいた御意見を踏まえて最終的にガイドラインとして取りまとめをいたしたというものでございます。
○高良鉄美君 ガイドラインの作成に当たってはということで、最後のところで、パブリックコメントで寄せられた意見が反映されたということですけれども、どれぐらい意見があって、どのような意見が寄せられたかということをお尋ねします。
○政府参考人(伊藤信君) お答えいたします。
検討会でまとめられましたガイドライン案につきましては、パブリックコメントは、先ほど申し上げましたとおり、本年四月の八日から二十八日まで行いました。国民の皆様から延べ七百件近い御意見をいただいたところでございます。
そして、いただいた御意見を踏まえまして、例えばですが、災害対応には多角的な視点が重要であり、福祉担当部局や人権担当部局との連携を記載すべきであるですとか、避難所運営ガイドラインにも女性の視点が幅広く盛り込まれていますので、その内容に触れるべきであるということ、それから、トイレの課題は命に関わる問題でありますので、屋外を通らないですとか暗い場所を通らないといったようなことに触れるべきである、あるいは、子供や若年女性への支援についてこれまでの災害時における性被害の例に触れるべきといった御指摘もありました。それについて必要な修正を行って取りまとめをしたということでございます。
なお、そのほかに、意思決定層における女性の参画に関する御意見につきましても多くいただいておりまして、今後の政策の参考にさせていただきたいというふうに考えてございます。
○高良鉄美君 今、一番最後に、女性の意思決定過程への参画ということがありましたですけれども、一九九五年の阪神・淡路大震災では、女性の死者数が男性より約千人多かったと言われています。とりわけ、避難所での女性に対する性暴力、今ありましたけれども、高齢女性の災害に対する脆弱性が明らかになりました。当時は、復旧復興について男女の共同参画の視点というのはほとんどなかったため、様々な課題が指摘されたわけです。
二〇〇四年の中越地震での災害対応では、この女性の視点が必要ということで、男女共同参画局でも女性のニーズを把握することに尽力をされたと聞いています。防災基本計画に男女双方の視点等の配慮や、あるいは男女共同参画の視点を取り入れた防災体制の確立、こういったのが盛り込まれてきたわけです。
そして、二〇一一年の東日本大震災では、この災害対応において、女性や生活者の視点が十分に反映されないこと、それから女性や子育てのニーズを把握し対応できる避難所運営が十分にできていなかった、こういったことなどが指摘され、これを契機に被災者支援における男女共同参画の重要性が改めて認識されてきたと。それから、防災会議を始め、様々な意思決定過程に女性の登用が少しずつ進んできたと、そういうふうに承知しております。
このガイドラインでは、こうした様々な問題とか課題を、経験したことを踏まえて、そして作成されているということが随所に見て取れる、私はこれを高く評価しているわけですけれども。ガイドラインでは、平常時からの男女共同参画の推進を防災や復興の基盤として位置付け、男女共同参画の課題を明示していますけれども、この取組をどのように進めるのか。特に、男女共同参画、ジェンダーの平等、こういったことを阻む最大の要因となっている固定的な性別役割分業意識、こういったものを解消するためにどのような取組をされるのか、併せてお示しください。
○政府参考人(伊藤信君) お答えいたします。
女性の視点からの防災・復興に関する取組につきましては、今年の三月に有識者による検討会から、さっきのガイドラインの案とは別に、国や現地の災害対策本部へのジェンダーの視点の導入強化ですとか、地方公共団体の取組のフォローアップと見える化、災害対応におけます男女共同参画センターのネットワーク化、それから好事例の展開などにつきまして、第五次男女共同参画基本計画の検討に反映させることなどを期待するというふうな旨の提言をいただいております。
また、平常時からのこのようなことについての取組、重要でございまして、今般のガイドラインにおきましても、基本方針として、一つには、平常時からの男女共同参画の推進が防災・復興の基盤となるというふうに掲げまして、固定的な性別役割分担意識による影響を含む具体的な課題を掲げて、それへの対応策について示してございます。また、別の基本方針では、女性の視点を入れて必要な民間との連携・協働体制を構築するというのを掲げてございます。平常時からの連携体制の構築と、それから、そのためには自治体におきまして男女共同参画の担当課や男女共同参画センターが中心的な役割を担うことが重要であるということを示してございます。
計画に関してですが、男女共同参画会議の下で現在行われております第五次男女共同参画基本計画の検討におきましても、固定的な性別役割分業意識の解消が重要な論点となってございます。また、その会議の下に、防災・復興について検討するワーキンググループ、設けてございます。ここには、このガイドラインの検討をしていただきました検討会の座長も交えまして、先ほど申し上げた提言ですとかガイドラインを踏まえた調査審議を今進めているところでございます。
○高良鉄美君 ありがとうございます。いろんな取組を今紹介いただきました。
本日は今井絵理子政務官にも御出席していただいていますので、今井政務官にお尋ねいたします。
ガイドラインは、備蓄やあるいは避難所のチェックシートを始め、授乳アセスメントシートや女性の視点からの空間配置図、お役立ち情報の一覧など、すぐに活用できる便利なものとなっています。これは使われてこそ意義があるということで、広く周知をすることが重要だと思います。今後どのような周知をされるのか、あるいは理解促進のためにどのように取り組まれるのか、お伺いします。
○大臣政務官(今井絵理子君) 大規模災害の発生は全ての人の生活を脅かしますが、中でも、人口の半分は女性であり、女性と男性が災害から受ける影響というのは違い、十分にそれぞれに対応した配慮が必要だと思っております。このため、防災・減災、災害に強い社会の実現にとっては、こういった配慮は欠かせないと思っています。このガイドラインを地方公共団体に対して周知徹底し、現場の取組でしっかり活用していただくことが極めて重要であると考えています。
先月二十九日付けで、内閣府の男女共同参画局長と防災担当政策統括官の連名で、地方公共団体の男女共同参画担当部局と防災・危機管理担当部局に対し、このガイドラインに基づく取組の促進について通知を出しました。また、同日付けで防災基本計画が改定されました。例えば、国は、女性視点での災害対応の強化を図るため、地方公共団体において防災担当部局と男女共同参画担当部局、男女共同参画センターの連携体制が構築されるよう取り組むことであるとか、地方公共団体は、平常時及び災害時における男女共同参画担当部局及び男女共同参画センターの役割について、防災担当部局と男女共同参画担当部局が連携し明確化しておくよう努めることなど、新たに盛り込みました。
今後とも、関係省庁や全国知事会などの関係団体と連携して、例えば、地方公共団体で男女共同参画を担当する課長や男女共同参画センター長などを集めた会議など、様々な機会を捉えてこのガイドラインの浸透を図り、また取組状況をフォローアップすることもすごく重要だなと思っていますので、全国での取組を促進してまいるよう努めていきたいと思います。
○高良鉄美君 ありがとうございました。
今、今井政務官から積極的な取組ということの決意が表明されましたけれども、私も地元沖縄の方に行ってこういった理解が周知されるように取り組んで、少しでも貢献したいと思っております。
政府は、先ほどありましたけれども、第五次の男女共同参画基本計画を策定されるということで、今年十二月には閣議決定の予定というふうに承知していますが、このガイドラインの示唆に富む内容、趣旨がしっかり盛り込まれるものと期待しています。
最後の質問になりますけれども、全国の男女共同参画センターあるいは女性センターの充実について伺います。
今ありましたように、地方自治体との協力、そういった連携がありますので、どうもこの男女共同参画センターあるいは女性センターという形が少ししぼんでいるような面もありますので、女性たちの学習とかあるいはリーダー養成、交流又は相談の場として、女性たち、もちろん男性たちもですけれども、その活動の拠点となっている男女共同参画センターあるいは女性センターは防災の拠点として極めて重要な役割を果たすと考えますが、この女性センターの充実について今後どのように取り組まれるのか、具体的にお示しください。
○政府参考人(伊藤信君) お答えいたします。
委員御指摘のとおり、男女共同参画センターは防災の拠点といたしましても重要な役割を担うものでございまして、先ほど今井政務官から答弁ございましたけれども、今回の防災基本計画の改定におきましても、地方公共団体が平常時及び災害時における男女共同参画センターの役割について明確化しておくよう努めるものとするというふうにされているところでございます。
また、今年三月の有識者の検討会提言におきましては、男女共同参画センターの中には、災害時の女性支援において既に効果的な役割を果たしているセンターが存在しているということがございまして、こうした災害対応における男女共同参画センターのネットワークが全国に広がっていくための支援を行うことが必要であるというふうなことで御提言をいただいているところでございます。
これらを踏まえまして、先ほどもおっしゃいましたけれども、男女共同参画会議の下で男女共同参画基本計画の検討を進められているところでございます。引き続き、男女共同参画センターの充実にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
○高良鉄美君 大変前向きな答えと感じました。
この男女共同参画センターや女性センターのネットワークというお話も政府参考人されましたけれども、やっぱりそういったことが充実していくことが非常に重要だということで、私が今、今日聞いているのは、震災に加えてということでコロナの問題が特に震災の被災地の地域ではやっぱり問題になっていると、さらにですね。ですから、この新型コロナウイルス感染拡大に起因して今ちょうど全国的に、ちょうどと言ったら変ですけれども、この生活不安あるいはストレスから女性や子供への虐待が増加して深刻化しているということですね。そうしますと、災害やこういった感染症の拡大、同じような危機的なものですけれども、そういった非常時には社会的に弱い立場の方々に攻撃の矛先が向かうということがあるわけです。
そういった意味で、この男女共同参画の問題というのは、被災というだけじゃなくて、防災というだけじゃなくて、こういったトータルの対策が必要じゃないかなと思って、そういった意味では、この女性センターというのは、女性が抱える問題等の情報提供、相談、研究のほか、配偶者暴力相談支援センターとして相談窓口を設置している施設もあるということを聞いていますので、ますます今ニーズが高まっているんじゃないかなと、今のこのコロナの時期だからこそ、防災、そしてそういったコロナの対策ということにも必要だと思っています。
今日は男女共同参画局の積極的な取組というのを伺いましたけれども、今後も更なる取組を期待して私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございます。