国会質疑 Interpellation

2023年5月19日 参議院 政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会②

質問内容

参考人質疑 政府開発援助等及び沖縄・北方問題対策樹立に関する調査 (北方領土問題に関する件)

議事録

第211回国会 参議院 政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会 第3号 令和5年3月16日

○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美です。一番南の方からやってまいりましたけれども。
 脇参考人にちょっとお聞きしたいんですけれども、二月七日、先ほど言及ありましたけれども、私も北方領土の日、国立劇場の方、参加して、やっぱり若い方々、後継者の方々との協力みたいなのが、朗読劇ももちろんありましたし、いろんな手段というんですかね、伝え、発信する手段をやっぱり持っているのかなと私も感じました。そして、アニメみたいなのがありましたですね。あれはかなり分かりやすかったし、やっぱり苦労されて島から脱出というんですかね、あんな中で、大変な状況の中で出てきたと。
 やっぱり、そういうのも全く私、もう申し訳ないですけれども、やっぱりその当時の状況がそういうものって余り分からなかったんですね。しかし、もう非常によく分かって、かつ、島に交流をされているときの、さっきのお墓の公園を造ろうというのも、お墓にみんな行っているときに、割かし、住民との間というんですかね、あちらの、元島民とあちらのロシア人の方々との間に非常にコミュニケーションが取れていると言ったら変ですけれども、ちょっと理解はあるような形というのが私にとっては非常に新鮮だったですね。
 そして、島を戦争のときに脱出する、ロシア兵、ソ連兵は当時はこうやるので捕まえるんでしょうけれども、島の人たち、ロシア人の方たちは何か食べ物を持ってきたりとか、何かそういうものも一部はあったというふうに、ふだんから交流があったのかは知らないですけれども。そういうもののことも全く知らなかったものですから、すごい歴史があるなということで、こういったことを更に広げるイベントというんでしょうかね、そういう機会を、今もう一生懸命いろんなことをされていると思いますので、やっぱり北方領土の日の周知というのも含めて、脇参考人、これからいろいろ大変な時期だと思うんですけれども、これから若い方々とのつながりというのをどのようにやっていこうかということで、お話しいただけたらと思います。
○参考人(脇紀美夫君) ありがとうございます。
 個人個人というか、現在住んでいるロシア人の方々との交流というのが深まっている中にあって、特に最近思うのは、我々の墓地の草刈りとか管理をしてもらっているんですね、ロシアの島民の方々に。そういう意味では、非常にそういうことでの理解もありますし、個人対個人は非常に仲よくというか、友好も深まっているという状況があります。
 ただ、返還ということに関しては、政治的な問題というようなことの中で、これは別の問題だという意識がありますので、それはそれとしても、我々は今住んでいるロシア人と交流を深めていく、これは非常に大事なことだと、それが最終的には返還につながっていくものだと、そういうことを思いながら活動をしていきたいというふうに思っています。
○高良鉄美君 さっき出てきた沖縄の関連で、ずっと皆さん聞いていて、安保三文書の話が出たんですね。
 山添参考人の中でロシアの国家安全保障戦略という言葉が出たので、これは日本ももちろん、今回、安保三文書の中で国家安全保障戦略と同じ言葉を使っていますけれども。これは山添参考人の方にですけれども、日本のこの安保三文書が出たときに、去年末、ロシアへの影響はあったんでしょうかということをちょっとお聞きしたいと思います。
 そして、中国を一応対象としているわけではありませんけどと言っていますけれども、中国が重要な役割を持っていらっしゃるということもあったので、この仲介も含めてですね、この安保三文書というのがそういうようなところに影響を与えるかですね。要するに、中国の問題というのをかなり意識している、南西諸島にいろんなものを配備するということで。
 そうすると、これがロシアとの関係で、物すごくこの返還の問題あるいは交渉の問題をゆがめていないか、あるいは、ちょっとしにくくなったというのもあるんじゃないかと思うんですけれども、そこら辺はどうでしょうか。
○参考人(山添博史君) ありがとうございます。
 日本の安全保障戦略ですけれども、この変化に対して、ロシアの中での反応はそれほど、やはり日米同盟強化とか、この太平洋の、彼らはアジア太平洋地域と言い続けるんですけれども、ここの緊張を高める、そういった表面的な批判があったとは思うんですけれども、それほどこれがロシアにとって危険なものというような深みのある深刻な捉え方ではなかったというふうに私は見ております。
 これで、ロシアとしても、この日本の大きな安全保障上の懸念が南西方面であるとか、北朝鮮の核・ミサイル開発であるとか、そういったことは理解しているということですので、これ自身でロシアにとっての日本ということの位置付けが大きく変わったというふうには私は見ておりません。
○高良鉄美君 今言われたとおりだと思います。ロシアの方からすると、従来の日本と同じ形で進んでいると。
 ところが、ウクライナに対する支援というのを表明して、ロシアの軍事侵攻を非難する決議をしたということがありますけれども、これはどうでしょうか。日ロ関係において大きな影響はあったという、日本の姿勢がですね。
○参考人(山添博史君) ありがとうございます。
 日本について、この問題についてロシアが日本を論じるときによく言う言い方は、日本は自分で決断ができていないと、アメリカの同盟国であるからアメリカの言うとおりになっており、本来関係ないウクライナの問題に対して日本が声を上げているのは、主体性がなく、アメリカの同盟国として実質的に支配されているからだと、そういった言い方をすることが大きいです。
 ただ、それは、日本が独自の主張をしているとか、日本がアメリカと違うような外交路線も取ってロシアに臨んだこととか、そういうことも一切無視しているわけですので、やはりそれをロシアとして日本のことをきっちり理解しているというふうには思えない状況だと思います。
 ただ、このウクライナに対する日本の支援ということ、これは二〇一四年の状況からかなり日本は取り組んできているわけなんですけれども、それを根本的な問題だというふうにロシアが捉えてきたわけではないんですね。それとは別に日ロ関係というのも話ができるし、日米、ロシア、アメリカの関係と別に日ロ関係と話ができるというのは、二〇一四年から二〇二一年まではそのようにやってきましたので、ロシアとしては、やはり日本を結局は別に考えて行動を判断するのではないかというふうに思います。
○高良鉄美君 今この安保三文書がというのは、さっきちょっとその声が聞こえたものですから、国家安全保障戦略のですね。この安保三文書の中では、しかし、日本中どこにでも配備をすることができる、今、南西諸島に主に配備をしているミサイルがありますけど。これがもし北海道に行ったら、それはロシアはどんな形になるんでしょうかね。
○参考人(山添博史君) ありがとうございます。
 ロシアは、少し前のINF条約、中距離核戦力条約が崩れてしまったときにも、アメリカは日本に、ロシアに届くような中距離ミサイルを配備したいんであろうというような非難の声をロシアが出しておりました。ただ、実際にそういうふうな事態には進んでおりませんので、それ自身が本格的な関係悪化、緊張が緊張を呼ぶような悪い悪循環になるとは今のところ私自身は思っておりませんで、やはり日本の場合で、安全保障上、ミサイル戦力、反撃でありますとか抵抗する能力がもっと必要であるのは南西方面が主な場所であると思います。
○高良鉄美君 今この安保の関連でいろいろあるんですけれども、やはり日本とロシアの間の信頼関係とか、あるいは中国との信頼関係とか、そういったところが非常に重要かなと、もうお話を聞いていて思いました。
 そして、脇参考人、これからやっぱりいろんな、先ほどのお話もありましたけれども、どんどん、私たちが見えていなかった記録とかビデオをどんどん広げていくということで、国会の方でもそういう協力ができたら、どんどん広がってくるんじゃないかなと思いました。
 ありがとうございました。