国会質疑 Interpellation

2022年4月4日 参議院 行政監視委員会

質問内容

・渉外戸籍事務の調査について

・行政文書の開示について

議事録

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第208回国会 参議院 行政監視委員会 第2号 令和4年4月4日

○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美でございます。
 金子総務大臣は、三月三十日の政治倫理選挙制度に関する特別委員会の答弁で、法の支配は、人権の保障と恣意的な権力の抑制とを目的として、全ての権力に対する法の優越を認める考え方であり、日本国憲法も同様の考え方に立って制定された、法の支配の内容として重要なものは、憲法の最高法規性の観念、権力によって侵されない個人の人権、法の内容や手続の公正を要求する適正手続、権力の恣意的行使をコントロールする裁判所の役割に対する尊重などであると模範答弁されました。
 情報公開や、今回行政評価も変わっております。それ以上に、総務省の事務以上に、ほかの国政全体もこの適正手続が最も重要であるということを申し上げて、質問に入りたいと思います。
 総務省が公表した報告のうち、渉外戸籍事務の適正・円滑な処理に関する行政評価・監視について伺います。
 渉外戸籍事務の調査とは具体的にどのような内容でしょうか、お答えお願いします。
○政府参考人(清水正博君) お答え申し上げます。
 御指摘の渉外戸籍に関する調査につきましては、外国人が日本で婚姻する場合、市区町村での調査に多くの労力、時間が費やされている状況を踏まえ、市区町村や法務局の事務処理状況を調査したものでございます。調査の結果、市区町村、法務局及び法務省の間で事務処理に必要な情報の共有が不十分な状況、実態が見られましたため、情報共有のルールやシステムの構築などを法務省に求めたものでございます。
 以上です。
○高良鉄美君 この件は大塚耕平委員の方も質問されましたけれども、今回、全国の市町村や法務局と情報共有のルールやシステムの構築をするよう勧告をされたということは高く評価できると思います。
 これまで、情報共有がされずトラブルになったケースというのはどのようなものがあるでしょうか。
○政府参考人(堂薗幹一郎君) お答えいたします。
 法務大臣は、市区町村長が戸籍事務を処理するに当たりよるべき基準を定めることができるとされておりまして、戸籍事務を処理するに当たって必要な処理基準等について管轄法務局、地方法務局を通じて市区町村長に対して周知をしているところでございますが、これに加えて、今般必要な情報共有の取組を行うこととしたものでございます。
 これまでは、例えば、ペルー国籍の外国人の婚姻要件の判断に当たり、その住所が日本国内にあるかの確認が必要であるかという点につきまして取扱いが異なる部分があるとの指摘がされてきたところでございます。情報共有を進めることで取扱いの差をなくし、適正、迅速な処理につながるものと認識しているところでございます。
 引き続き、戸籍事務の適正処理に向けて全力していく所存でございます。
○高良鉄美君 やはり、在日外国人、あるいは外国から入国して日本に今後住むと、あるいは婚姻関係にあるといったことで多くの事例が出てきていると思うんですけれども、ちょっと質問等聞いているうちに、沖縄の米軍人と沖縄女性の結婚というのはよくあります。しかし、この軍人の方は、出入国管理関係あるいは外国人登録関係でも特例になっていると思うんですね。
 だから、そういったところでいうと、やはり情報の共有をされるということでしたので、これやっぱり、突然、ある地域の本当に村で、村にこの戸籍係が一人しかいないといった場合にはどうなるんだというのが本当に危機的にあると思うんですね。そこにやっぱり研修とかいろんなこともされていくということは、そして情報共有していくということは非常に重要だと思います。
 その関連で、渉外戸籍という事務の中で、ちょっと関連はあるかもしれませんが、アメリカ・ニューヨーク州で夫婦別姓のまま婚姻した日本人の夫妻が婚姻関係にあることを戸籍等で公証される地位にあるということの確認等を求めた訴訟の判決で、東京地裁は昨年四月、戸籍への記載によって婚姻関係を証明するよう求めた訴えについては家庭裁判所に申し立てる方が適切としてこれ不適法としましたが、日本でも婚姻関係自体は、婚姻自体は有効に成立していると認定をしました。
 このようなケースについて、全国の市町村や法務局に取扱い等について情報の共有がされているのかいないのか、もしされていればその内容をお伺いします。お願いします。
○政府参考人(堂薗幹一郎君) お答えいたします。
 委員御指摘の令和三年四月二十一日の東京地裁判決は、外国の方式に従い夫婦が称する氏を定めないまま婚姻の手続を行った原告らが、御指摘のとおり、戸籍等により婚姻関係の公証を受けることができる地位の確認、地位にあることの確認を求めるとともに、そのような公証の方法を設けていない立法不作為が憲法二十四条に違反するとして国家賠償請求をしたのに対しまして、地位確認の訴えについてはこれを不適法なものとして却下し、国家賠償請求についてはこれを棄却したものでございまして、国が全面的に勝訴したという事案でございます。
 もっとも、その判決の理由中において、御指摘がありましたように、我が国においても暫定的な状態で婚姻が有効に成立しているとの判断が示されたところでございます。
 法務省としては、このような場合には、そもそも我が国において婚姻が有効に成立しているとは考えておらず、この訴訟においてもその旨の主張をしていたところでございます。しかし、国が全面的に勝訴したため、国としては控訴することができず、また敗訴した原告らも控訴をしなかったことから確定に至ったというものでございます。
 また、先ほど述べたとおり、この点の判断は判決理由中の判断にすぎず、既判力、すなわち一定の場合に後の訴訟において裁判所や当事者に対して拘束力を生じさせるものでございますが、そういった既判力は生じないものでございます。
 したがいまして、法務省としては、現段階においてこれを周知することは適切でないものと考えているところでございます。
○高良鉄美君 判決理由の一部であるとかあります、確かに。既判力を否定するということも、これはできないことはないと思いますが、しかし、今、現にいらっしゃるこの別姓婚をした、海外でですね、別姓で婚姻をした日本人夫婦が、いや、有効ですと、しかし無効なんですということになるわけですよね、認めないと。
 そうすると、こういうときには、私たちは婚姻しているんでしょうかと、何か自問自答なんかをするような具合に、こういう場合の問題もあるんじゃないかなと想定されますし、今後、もしこのコロナ禍が落ち着いてもう海外旅行ができるようになれば、この訴訟が、最終的にまだ中身が、今言われたように、控訴もできず、そのままこの状態で終わっているわけですから、別姓海外婚というようなことで選択をする方もいるんじゃないかなと思います。
 婚姻は、先ほど憲法二十四条に違反というような形で原告の方が訴えていたということですが、憲法二十四条で書いているのは、婚姻は両性の合意のみに基づいてという、これが一番重要なんですね。最も重要というわけですから、できるだけこの人権ということで、先ほど一番最初に、なぜ法の支配かといったときに、基本的人権というのが、そして適正手続というのがもうこういうことになるんだと、そして裁判所の判断というのがこの重要な尊重されるべき地位にあるんだと、憲法の最高法規性ももちろん入っているということで、できるだけこういう場合に、人権を守り、適正な手続によって救済していくという、そういう対応をしていただきたいということを申し上げて、最後の質問に入ります。
 情報公開ということで、ちょっとまたこれ、情報公開というのは、知る権利との関係ももちろんあります。ちょっと先ほど沖縄の話をしましたけれども、二〇一六年九月、読谷村の住民が沖縄防衛局に対して米軍の読谷補助飛行場、今現在はもう返還されて、跡地利用ということになりますが、この返ってきた読谷補助飛行場における米軍への土地使用履歴について、過去米軍が使っていたということで、この行政文書の開示請求を行いました。
 しかし、これ九月、二〇一六年九月ですが、翌十月、これ一か月足らずです、沖縄防衛局はこれを行政文書不開示決定としました。不開示の理由は、これは文書がないと言っておるわけです。一か月も足らずに全部調べたというんですが、米軍からの文書では、ほかの軍を当たれと。つまり、海兵隊に言ったんですが、海兵隊は、自分たちの来る前には知らないが、自分たちはそれをやっていないと、いろんなものも存在が確認できていないと。その前のというのは陸海空軍です、アメリカの、米軍です。その三つに問い合わせて調整してくれということを米軍の方が言っているんです。沖縄防衛局はそれをやっていないんですよ。やっていないで不開示決定になって、ありませんと。
 で、問題はそこじゃなくて、それ以上に、この住民が防衛大臣に対して不開示の不服申立てを行いました。情報公開・個人情報保護審査会に諮問されたのは五年四か月後です。そして、今年、三月三十一日までに資料等があれば出してくださいということをこの原告に審査会の方からお願いしています。これは三週間で用意してくださいということですね。これだけ差があるということで、国民の知る権利の観点からも問題があったのではないかと思います。
 まあケース・バイ・ケースということでいろいろ、出ない期間とかばらばらにあると思いますけれども、一般論として伺いますけれども、不服申立てを受けて審査会に諮問するまでの期限とか、その間の一定のルールとかはないのかをお伺いします。
○政府参考人(白岩俊君) お答え申し上げます。
 情報公開法に係る審査請求については、委員御指摘のとおり、ケース・バイ・ケースの対応が必要となってまいります。このためもあり、法律には不服申立てから情報公開・個人情報保護審査会への諮問について一律の期限は設けられていないものと考えます。しかしながら、このことは幾ら時間を掛けてもいいということではなく、必要な手続を行った上で速やかに行うべきことは言うまでもありません。
 そこで、事案の事務処理や手続の標準について、各府省で申合せを行っております。具体的には、改めての調査、検討などは要しない、などを要しないものは三十日を超えないように、また、それ以外のものについても特段の事情のない限り九十日を超えないようにすることとしております。さらに、特段の事情があって九十日を超えてしまった事案については、要した期間とその理由について、国民の理解を得られるように公表することとしております。
 総務省としては、施行状況調査などを行いつつ、適正な事務処理の確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○高良鉄美君 今、九十日ですね、三十日、それ特段の理由があれば九十日ということでしたけれども、確かにこれ、先ほど知る権利の問題というのがありましたので、情報の価値が何年かたってくるともう落ちてしまうということからすると、やっぱりここできちんと情報公開をする適切な期間というのが、やっぱり合理的期間というのも裁判所でいろいろ使いますね、我々の立法裁量の場合にも。
 それからいうと、やっぱりある一定の期間が必要だろうというのも理解できますが、やはり九十日が一つの目安だろうと思うんですが、今回は五年ということで、五年四か月ということですけれども、この辺りはやはりちょっと長過ぎるんじゃないかなと、普通に考えてですね。しかも、不服申立てをしているのは、ありませんと言ったのは、一か月足らずでありませんと言ったと。じゃ、その元の三軍ですね、陸海空軍には問い合わせるかというと、この文書があるかどうかというのが今問題になるかと思いますけれども、そういったところでいいますと、まあ今回、この情報公開の中でも、やはりいろんな総務省の管轄の中で適正手続というのが非常に重要だと思います。
 これ通告してないんですが、もし、大臣、何か御感想があればよろしくお願いして私の質問は終わりますけれども、よろしくお願いいたします。
○国務大臣(金子恭之君) 今議論を聞かせていただいておりました。まあ一般論としてはですね、審査請求については、必要な手続を行った上でできるだけ迅速に処理を行うことが望ましいと考えております。各省においても開示請求や審査請求を迅速に処理するため業務改革や運用上の工夫に取り組んでおりまして、総務省としてもこうした取組を後押ししてまいりたいと思います。
○高良鉄美君 もう時間が来ましたので、大変有意義な御回答いただきまして、ありがとうございました。
 終わります。