国会質疑 Interpellation

2022年2月16日 参議院 国際経済・外交に関する調査会 参考人質疑

質問内容

・「海を通じて世界とともに生きる日本」のうち、海洋環境の保全及び海洋資源の持続可能な利用への貢献の在り方について

議事録

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第208回国会 参議院 国際経済・外交に関する調査会 第3号 令和4年2月16日

○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美といいます。
 海ばっかりの沖縄県からやってまいりました。北海道もそうかもしれませんけれども、四方を囲まれています。
 植松参考人にお聞きしたいんですけれども、この海洋科学の十年ということで、海洋基本法が、目的はやっぱり日本の海洋立国というところを強調しているところが一条ぐらいにあったと思うんですけれども、やはり海洋立国として、この海洋科学の十年をどちらかというとリードをしていくとか、立国というからにはそれなりのやっぱり姿勢あるいは覚悟を持っていないといけないのが立国だと思いますので、そこで、植松参考人の今現在の要職というんでしょうかね、いろんなところに就かれていますけれども、海洋学会とか、あるいは海洋政策学会とか、あるいは東大の方でもいろいろ過去されたものは、どうもイメージとして海洋というと理科系かなと思ったりするイメージがあったり、琉球大学も海洋学科というのがあって、これ理学部にあるんですね。だから、それじゃなくて、やっぱり海洋立国という場合には必ずしもそういうものには限らないよというようなことで、先生のこの辺りどういうふうにお考えなのかということをお願いしたいと思います。
○参考人(植松光夫君) 御質問ありがとうございます。
 これは海洋学と海洋科学の違いだというふうに私は考えております。実は、これ日本語と英語ではイメージが違うんですが、海洋学というのはオセアノグラフィー、どちらかというと自然科学だけをやるという意味合いになっています。その代わりに、海洋科学、オーシャンサイエンスあるいはマリンサイエンスというふうに言いますけれども、この場合は科学といっても自然科学だけではない、社会科学、人文科学も入って海全体を捉えるということで、海洋立国といった場合には、そのサイエンス、自然科学だけじゃなしにいろんなソサエティー、そういうところがみんなでそろって、これはもうアカデミックだけじゃなしに、もっと市民レベルからのボトムアップの形が必要じゃないかというふうに私は考えています。
 以上です。
○高良鉄美君 ありがとうございます。
 今ちょうどありましたように、やはり教育の面でも、ユネスコの方でも先生委員をなさっているということですので、その教育の面で、例えばこの海洋科学部と言ったら変ですけれども、そういうような試みみたいなのは何かあるんでしょうか。
○参考人(植松光夫君) 海洋科学部ですか。大学でということですか。今は日本の場合ですと、東海大学に海洋学部というのがありますし、ほかの国立大学でも海洋の名前が付くところがあるんですが、この頃学科名がどんどん変わってきて海洋というのが出ない、そういうところで海洋学をやっているグループが増えてきている、ちょっと残念な状況であります。
○高良鉄美君 ありがとうございます。
 それでは、小林参考人にお聞きしたいと思います。
 漁業管理ということなので、恐らくEEZが出てきたのも一九八〇年代ぐらいですかね、初めぐらいだと思うんですけど、元々アメリカの規制で、アメリカの国内法で最初に二百海里の漁業水域みたいなのをやって、そこで取締りの、IUUに似たような、免許というんですかね、あるいは報告とかあるいは罰金、多分最初のイメージとしては日本の漁業を抑えているのかなと思ったぐらい、西海岸の州のマグナソン、久しぶりに見たんですが、そういう法案を出してきて規制をしましたですね。
 ところが、今先生のこの御報告をお聞きしまして、やはり国際的な漁業資源の保全ということの視点からすると、やっぱりそれは非常に良かったのかなというふうに私は思っていて、日本の今後の漁業の在り方みたいなのを考えたとき、漁獲量は下がっていても、やはり何かそういう漁業全体の質と言ったら変ですけど、コンプライアンスみたいなものの発揮をするような国というんでしょうかね、そういうような部分というのはどのようにお考えでしょうかということで。
○参考人(小林正典君) ありがとうございます、本当に重要な御指摘をいただきまして。
 国連海洋法条約にアメリカは入っていないんですけれども、公海漁業協定というのにはアメリカが入っていまして、なので、アメリカも漁業資源、国際的にやっていこうというところでは前向きだというふうに理解しています。
 その協定の中で地域漁業機関という、途中でちょっとお話しさせていただきましたけど、その機関が管理をしていくということになっていて、日本も品川の海洋大学の方に北太平洋漁業委員会というのがありまして、NPFC、そこが中国とかロシアとか結構なかなかやりにくいところがメンバーになっていて、そこがサンマの漁獲枠を一度決めたんですけれども、サンマの漁獲が減っちゃっているので、枠を決めても今の漁獲量がその枠よりも小さいということで、枠自体も意味があるのかとか、そんな議論はあるんですが、共有資源である漁業資源の保全と持続可能な利用に向けて、日本が知恵を出して、その制度設計、それからその実施を図っていくという、そこでの国際協力、国際貢献というのはやはり我が国としての重要な政策の柱であるべきだと、そんなふうなところで我々も取り組んでおります。
○高良鉄美君 ありがとうございます。
 やっぱり先ほどの海洋立国というのと非常に近い、あるいは整合性が取れる重要なところだと思いましたので。
 それともう一つ、このEEZが設定できるというのは、海なし国と言ったら変ですけれども、そういう場合にはもう、それ以前の領海の問題もあったと思うんですけれども、やっぱり不満が出てこないのかなと、漁業に関してですね。
 ところが、先ほど養殖のところもあったので、決して必ず海じゃなくてもいいということがあったので、今そういった沿岸国じゃない国がその辺りどういうふうに見ているのか、EEZの問題、そこをちょっと教えていただけたらと思います。
○参考人(小林正典君) これも重要な点でして、海は今、公海の方ですけれども、世界の共有資源、人類の共有資源ということで、例えばネパール、ランドロックトカントリーという、要は内陸国ですね、そういう国も海の管理というのに積極的に参加して、途中で申し上げた国家管轄権外区域の生物多様性保全の協定作りなんかでは積極的に発言をしていたり、あとは、モンゴルでも漁船の船籍を持っていたりするんですよね。要は、何というんですかね、租税回避とか便宜船籍とかという趣旨とも指摘はされているんですが、なので、海がない国でも旗国として役割を果たしているような国もありますので、そういう意味では、内陸国もこの海の管理については参加していくというところが重要な国際的な課題というふうにはなっております。
○高良鉄美君 ありがとうございました。やっぱりイメージと随分違うんだなというのがよく分かりました。
 最後に、加藤参考人の方にお聞きしたいと思います。
 このレアアースの先ほどのプレゼン、すばらしいですね。これはもう日本の何か特効薬というか、経済回復のですね、もうそれぐらいに聞こえているので。
 今の状況、技術的には海外の石油の掘削をしているところに頼るという部分がありますけれども、それからあと、資金と言ったら変ですけれども、開発のための財政の投資の仕方、それとか、技術だけじゃなくて、何か法整備、制度設計というんですかね、その辺りもちょうど先生書かれておりましたので、そこをもう少し強調するような、今何が必要かといった場合に、言われるんであれば何か言っていただけるとと思います。
○参考人(加藤泰浩君) 御質問いただき、ありがとうございます。
 何よりも、やはりレアアース泥に関しては揚泥技術開発が肝になることはもう間違いなくて、泥を取ることさえできれば、全てのフローは流すことができる。マーケットサプライチェーン全部日本につくることができます。だから、その技術開発を一刻も早くやるべきというところで、それは、深海の石油の開発技術を持っている海外の力を借りたりとかいろんなことを踏まえて、そこで泥を引き揚げるというところをもうイの一番でやるべきだというふうには思っています。
 そのためには、日本だけでは無理であれば、やっぱり海外の技術も借りてくるということも考えてやるのがいいのではないかと。これを取ることさえできれば、とにかく日本を一気に活性化させることができると考えておりますので、是非そうしていただきたいと思っております。
 以上です。
○高良鉄美君 ありがとうございました。
 時間来ましたけれども、前回も少し私言ったのは、沖縄の海洋博からもうやがてあと三年たつと五十年になるんですが、半世紀になるんですが、ずっと、御三名の参考人の先生方のお話というのが、やっぱり海洋の問題に対するリテラシーとかあるいは市民参加とか、そういう情報の、それこそ開かれた海になるためにはこういう海洋博の、あの頃、七五年というのはちょっとまだ余りEEZもできていない状態ですから、もうあれとは違う新しい形でまた沖縄に是非とも開いていただけるよう委員の先生方にもお願いをしながら、参考人の方々の御質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。