国会質疑 Interpellation

2021年4月27日 参議院 法務委員会 一般質疑

質問内容

・司法試験におけるコロナ対策について

・選択的夫婦別姓について

・女性差別撤廃条約について

議事録

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第204回国会 参議院 法務委員会 第10号 令和3年4月27日

○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美です。
 まず、司法試験における新型コロナ感染症対策について伺います。
 昨年の司法試験は、新型コロナ感染症への不安が広がる中、安倍総理の国会答弁もあって延期の措置がとられました。今年の司法試験は五月十二日から十六日まで行われると聞いています。昨年の状況とは違って、若者にも重症化のリスクが高い変異株の影響が懸念されています。会場の一つである東京は試験前日の五月十一日まで緊急事態宣言下にあり、緊急事態宣言中に県をまたぐということや、試験が五日間にも及ぶことから長時間密になるということへの不安の声も寄せられています。
 受験生が安心して受験できることが最も重要ですが、全国の試験会場で感染防止対策がどのように取られているのか、法務省に伺いたいと思います。
○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。
 令和三年司法試験の実施に当たりましては、新型コロナウイルス感染症の状況等も踏まえまして、司法試験の実施主体である司法試験委員会において、受験者間の距離が十分確保できる配席とすること、試験室等の換気、消毒を徹底すること、受験者にマスクの着用を義務付けること、全ての試験場にサーモグラフィーを設置するなどして受験者の体調確認を実施すること、それから、試験監督員等につきましてもマスク及びフェースシールドの着用を義務付け、検温等による体調管理や消毒を徹底することなどの感染防止対策を講じるものと承知をしております。
○高良鉄美君 いろいろ対策を取るということでした。
 無症状の感染者が万一おられたというようなことになったとしても濃厚接触にならない程度の距離を十分保つと、特に前後の座席の間もしっかり取っていただきたいと思いますし、消毒の措置をとられるということであるということを伺いました。そのことを受験生にしっかりと広報していただいて、丁寧に不安の払拭に努めていただきたいと思います。
 次に、選択的夫婦別姓について伺います。
 アメリカ・ニューヨークで夫婦別姓のまま結婚した日本人の夫婦が婚姻関係のあることを戸籍等で公証される地位にあるということの確認等を求めた訴訟の判決で、東京地裁は四月二十一日、日本でも婚姻自体は有効に成立していると認定をいたしました。このような訴訟は選択的夫婦別姓制度を求める国民の声の表れであり、民法改正に向けた検討を行うことがますます重要になっていると思います。
 制度導入に向けてどのような対応をしていかれるのか、法務省に伺いたいと思います。
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。
 選択的夫婦別氏制度の導入に関しましては、平成八年及び平成二十二年に法案の提出に向けて法制審議会の答申を踏まえた改正案を準備いたしましたが、この問題については国民の間に様々な意見があったほか、当時のそれぞれの政権与党内においても異論があったことなどから、改正法案の提出までには至らなかったものでございます。
 現在、各党において、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関して様々な形で検討が進められているものと承知しております。法務省といたしましては、そのような各党での検討が充実したものとなるように、法制審議会での検討の経過や最近の議論状況等について積極的に情報提供するなどして、できる限りの協力をしているところでございます。
 今後も、各党での検討を含む国会における議論が充実したものとなるように、こうしたできる限りの協力を続けるとともに、引き続き広報、周知を徹底するなどの環境整備にも努めてまいりたいと考えております。
○高良鉄美君 これまでの議論の集積ということもありますし、環境は随分、本当に今の御答弁のとおり変わってきたと思います。選択的夫婦別姓に賛成の世論も随分変わってきたと。それから、選択的夫婦別姓を求める請願、地方議会の意見書も次々出ていると。それから、夫婦別姓訴訟というのも、現在も係属中のこともあります。それから、民法改正を求める声というのはますます高まっていると思います。
 このような状況を受けて、選択的夫婦別姓制度導入に向けてどのような取組をされるのか、法務大臣の決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(上川陽子君) ただいま委員御指摘をいただきましたとおり、選択的夫婦別氏制度のこの導入を求める声ということにつきましては、国民の様々な意見ということでございますので、十分に耳を傾けるということが極めて重要であるというふうに考えております。
 また、令和二年十二月九日でありますが、夫婦別氏を認めず婚姻届を受理しないのは憲法に違反すると訴えた三件の家事審判の特別抗告審におきまして、最高裁の審理が大法廷に回付されたところでございます。今後改めて司法の判断が示されることが想定されるわけでございます。
 法務省といたしましては、ただいま民事局長からの答弁をさせていただきましたけれども、各党での検討を含む国会におきましての議論、これが充実したものになるようにしっかりと協力の取組を続けるとともに、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関しましては、国民各層の意見もございます、また、国会における議論の動向、司法の判断、こうしたことをしっかりと注視しながら検討を進めてまいりたいと考えております。
○高良鉄美君 かつて、上川大臣は賛成であると、夫婦別姓にですね、表明されています。国民の声を聞くということで、先ほども紹介しましたように随分環境も変わってきているということと、それから対応を、国会の議論を注視しているということでございました。法改正に向けてリーダーシップを発揮されるように、法務大臣として、今、法制審の答申のお話もありましたので、是非ともそういう形でしっかりとリーダーシップを発揮されるように期待をしております。
 次に、女性差別撤廃条約について伺います。
 国連女性差別撤廃委員会は、二〇一九年十月、第九回政府報告審査を簡易手続で行うということを日本政府に伝えていますが、事前に日本政府の意向を聞いて判断したと承知しています。簡易手続にするかどうかの判断はいつどこでされたのかということを外務省に伺いたいと思います。
○政府参考人(大鶴哲也君) お答え申し上げます。
 お尋ねの簡易報告手続は、この締約国の履行状況につきまして、まず締約国から報告書を出して、これに委員会からの質問票に対する回答を提出するというのが従来の二段階方式のやり方であるわけですけれども、これを改めまして、委員会から締約国に送付する質問票に対する回答をもちまして報告とするというのを簡易報告手続というふうに呼んでおります。
 二〇一四年、国連総会決議に基づきまして、他の人権条約も含めまして、人権条約体の効率的な運営のために締約国にこれを奨励するという決議が出ております。
 こういった流れの中で、二〇一八年、女子差別撤廃委員会から全締約国に対しまして事前質問票が配られまして、その導入についてのお尋ねがございました。同年四月、この委員会からの導入希望についての照会に対しまして外務省の中で検討を行いまして、先ほど申し上げたような国連総会決議の存在、これを委員会も奨励しているということ、それから、実質面におきましても差別撤廃委員会等の関心事項がより明確になるという観点から、外務省の中におきまして検討し、導入を希望する旨、回答いたしました。
 通例でありますと、その後、具体的な導入プロセスについての協議が始まるわけですけれども、しばらく連絡がなかったために、二〇一九年十月になりまして当方から委員会側に確認を行いましたところ、既に導入を決定したという通知を受けたと、こういう経緯でございます。
○高良鉄美君 今御説明があったとおり、この簡易報告の手続ですね、これは、それ自体はもう実質的に、悪いというわけじゃなくて、逆にいろんな中身も含めて、導入の経過ありました。簡易手続になってもこの内容自体は後退しないというふうに聞いております、今のとおりですね。むしろ、そういった際に穴を埋めるというんですかね、細かい点で疑問が出た場合には、やはり日本政府にも当然、外務省聞きますし、それから、やはりNGOにもその隙間を埋めるためにいろいろ聞いてくるんじゃないかということで、NGOの説明というのも重要になってくるんじゃないかなと思います。
 国連女性差別撤廃委員会は、二〇二〇年三月九日、日本政府に対して、事前質問事項という、リスト・オブ・イシューということを、これを送っています。それに対する日本政府の回答期限は二〇二一年三月、先月となっていましたが、現在も回答されていないと伺っています。回答していない理由と今後の見通しについて内閣府に伺います。
○政府参考人(林伴子君) お尋ねの件につきましては、現在、外務省を始めとする関係省庁と連携して作業を進めているところでございます。
 今回の政府報告の策定に当たっては、昨年十二月に閣議決定された第五次男女共同参画基本計画の内容を回答に反映させる必要があることや、多数の質問が様々な省庁に関係しておりまして所要の調整が必要であることなどから時間を要しておりますけれども、なるべく速やかに作業を進めて提出をしたいというふうに考えております。
○高良鉄美君 なるべく早くということで、やはりこういった回答を出すことによって更にまた国連からの対応というのがありますので、日本からのこの回答を待っている、あるいはそれを出されて初めて、いつ頃、また日程というのが決まってくると思います。
 男女共同参画局は、NGOとの対話をもう本当に他の省庁よりも率先して行っていると思います。国連女性差別撤廃委員会からのフォローアップ文書の取扱いについては、過日、私の質問で、府省間のやり取りというのにもちょっと不備があったということが分かりました。先ほども少しNGOの話をしましたけれども、これはもうNGOとの対話も少ないということが影響しているんじゃないかなと思います。
 国連はNGOとの対話を大変重要視していると思います。外務省、内閣府がNGOとの対話を積極的に行って、この女性差別の撤廃に向けて貢献されるよう求めて、質問時間前ですけれども、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。