国会質疑 Interpellation

2019年11月28日 参議院 法務委員会(2R) 1R会社法改正案質疑 2R会社法改正案参考人質疑

質問内容

・会社法の改正案について

・企業における女性活躍について

議事録

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第200回国会 参議院 法務委員会 第8号 令和元年11月28日
200-参-法務委員会-8号 令和元年11月28日

1R会社法改正案質疑

○高良鉄美 沖縄の風の高良鉄美でございます。
 先ほど来、いろんな質問出ております、また提案に対する意見もいろいろありますが、今日、会社法の審議が始まったばかりでございますけれども、私はこの全体を見まして、この会社法の改正の在り方ということに対して、先ほど来の意見から、よく検討する必要があるのではないかというふうに思われました。
 二〇一四年に成立した会社法の改正というのは、この附則において、法律の施行後二年を経過した場合、企業統治に係る制度の在り方を検討を加えて、必要があると認めるときは所要の措置を講ずることを定めています。それを受けて、二〇一七年、法務大臣が法制審議会に企業統治等に関する規律の見直しについて諮問をして、法制審議会が部会を設置した上で、二〇一七年四月から今年の一月まで審議を行い、今年の二月に法務大臣に答申をしました。
 今回の会社法の改正案はその答申を受けて提出されたものですけれども、衆議院では、先ほどから話がありましたように、株主提案権の制限について、参考人質疑も含めて議論が行われた結果、不当な目的等による制限の規定については、権利の濫用に該当する規律をより明確にするために更なる検討が必要であると、こういうものから、今回の改正において削除をするという修正案が出ました。これには与党も賛成して行われました。
 このことのみをもってもちろん判断するわけではありませんけれども、会社法の改正の検討というのは、基本法の一つでもありますし、時間を掛けて十分になされたと言えるのかというような疑問が出てきます。といいますのも、先ほどの、話があった質問の、内容に関わるんじゃないかということでそういうような修正が行われたわけですけれども、しかし、その提案自体、その不当な目的という部分自体が制限をする問題として大きなあるいは柱の一つにもなっていたんじゃないかというふうにも思われるからです。
 会社法は、二〇〇五年の制定前には商法の中に規定がありました。その商法は、昨年、運送・海商分野に関する規定が改正されましたが、これは実に百二十年前の商法改正以来初めての実質的な改正でした。一方、会社法は、二〇〇五年の制定後、二〇一四年に改正が行われています。制定後九年で改正を行い、そしてその後五年で再度改正を行おうとしているわけです。
 また、森大臣が所信で触れられていた、私、ずっと聞いておりますけれども、法の支配の重要な内容の一つとして適正手続というものがあります。この適正手続については、時間を掛けるということもその一つの要素だと思います。社会経済の情勢の変化ということに対する対応というのは、もちろんこの会社法の改正においても重要だと思いますが、この会社法の改正についての検討はもっと時間を掛けてじっくり行うべきではないでしょうか。慎重審議を含めて、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(森まさこ君) 高良委員にお答えをいたします。
 社会情勢の変化はもちろん重要だが、会社法改正についてもっと時間を掛けてじっくり行うべきではないかという御質問でございますが、改正法案は法制審議会において取りまとめられた要綱に基づくものでございまして、法制審議会は、平成二十九年二月九日に当時の大臣から法制審議会に対して諮問が行われまして、それを受けて各種団体の代表者を含む有識者で構成される専門部会が設置され、同部会において調査審議が行われてまいりました。同部会においては、中間試案を取りまとめて、これをパブリックコメントの手続に付し、そこで寄せられた意見も踏まえた上で要綱案の取りまとめがされております。
 このように、改正法案は、法制審議会の専門部会において約二年間、合計十九回にわたって会議を開催し、精力的に調査審議を尽くしてきた結果、最終的に、法制審議会の総会において全会一致で取りまとめられた要綱に基づいて立案されたものであり、適正手続という御指摘ございましたけれども、必要かつ十分な検討を行ったものであると考えております。
○高良鉄美 確かに、二年弱ぐらいの、いろんな法制審議会での議論があったと思います。ただ、こちらに、衆議院の方に上がって、修正出て、先ほどももう非常に珍しいんじゃないかというぐらいの全会一致で修正がされたということにおいては、やはり何か問題があったんじゃないかというようなことも、不当というのは一つの不確定概念ですので、そういった部分ももっと、もちろん議論されたと思います。そういった意味で、今日いろんな御意見が出ていますので、またそれも含めて、今後また御意見等々を伺いたいと思いますので。
 今度は、会社法の改正に対して臨む姿勢、この会社法、ということで、この根本的な部分で、今回の会社法の改正というのは、企業統治等に関する規律の見直しというのがそこでの条件だったと思いますので、企業統治、いわゆるコーポレートガバナンスという言葉は日常生活上余りなじみがありませんが、一般的に統治の一つであるというふうに考えることができます。一般市民になじみがない、余り、わけですけれども、このなじみのある方の統治というふうに考えますと、その一つは、地方自治体の統治というのがあります。地方自治体が物事を決定する場合、住民の声を適正に反映させる必要があります。企業統治においても、この声の反映ということが重要だと思います。
 松下幸之助氏、先ほど、最初に渡辺委員の方からもありました、企業は社会の公器であると述べています。つまり、法律上は会社は株主のものかもしれませんけれども、本質的には会社は個人のものではなく社会のものであるという、そういう考え方を示したわけですけれども、私も、会社は、株主の声だけでなく、そこで働く人や社会の様々な声を反映することが必要であると考えます。先ほども、少し大臣、その辺りを話しておられました。
 今回、この会社法改正に臨む基本姿勢として、会社は社会の公器であって、株主だけのものではないという、その考え方をお持ちでしょうか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(森まさこ君) 株式会社には、株主以外にも、従業員等の多様なステークホルダーが存在をします。そして、株式会社は我が国の社会や経済において重要な役割を果たしておりますし、また大きな影響も及ぼすものと考えます。
 今回の会社法の改正は、コーポレートガバナンスの向上を図るための必要な基盤を整備するものでございますけれども、株式会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るためには、社会における役割や株主以外のステークホルダーの利益にも十分に配慮する必要があると考えております。
○高良鉄美 ありがとうございます。
 やはり、社会の方に目を向けながら、この問題、会社法という内部の問題も、いろいろ捉えていくべき視点というのがあると思います。
 そこで、社外取締役の設置義務ということについて、先ほど来もありますけれども、お伺いします。
 今回、上場会社等において、社外取締役の設置が義務付けられることになります。しかし、現行の会社法の規定では、上場会社等は社外取締役を設置しない場合には、その理由を定時の株主総会で説明すればいい、社外取締役の設置義務はありません。現在、東証に上場している会社のということで、先ほど九八・四%ということがありましたけれども、それから一部上場会社に限れば、九九・九%の会社が一人以上の社外取締役を置いています。
 今回の改正で社外取締役の設置を強いられる会社は少数です。さらに、その中でも適任者がいないなどのこういった消極的な理由ではなくて、機動的な意思決定を阻害するといった積極的な理由で社外取締役を設置しない会社もごく少数ながら存在します。社外取締役には、同族会社に客観性を持ち込む、こういったことなどのメリットがあると考える一方で、少数者の意見を尊重することは非常に重要なことだと考えます。
 今回、これらの少数の意見に反してまで社外取締役の設置義務化を行う意味、趣旨、メリットについてお聞かせください。大臣の方にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(森まさこ君) 社外取締役は、少数株主を含む全ての株主に共通する株主の共同の利益を代弁する立場にある者として、業務執行者から独立した立場から会社経営の監督を行い、また経営者あるいは支配株主と少数株主との利益相反の監督を行うという役割を果たすことが期待されております。
 そこで、改正法案においては、コーポレートガバナンスを実効的に機能させ、我が国の資本市場が信頼される環境を整備し、上場会社等については社外取締役による監督が保証されているというメッセージを内外に発信するため、上場会社に社外取締役の設置を義務付けることとしております。
 業務執行や意思決定の機動性の確保は重要であるものの、社外取締役による監督と両立する形で、例えば経営の基本方針等の決定及び経営陣の監督を取締役会の主たる役割とし、具体的な業務執行の決定の多くは経営陣に委ねるなどの工夫によっても実現することができると考えております。
○高良鉄美 趣旨とメリットについてお伺いしました。今のような形でありましたけれども、先ほども櫻井議員の方が、こちらの問題について実態はどうなのか、あるいは実効性としてあるかというような社外取締役としての人材の適性というものを少し話しておられました。ですから、やっぱり実態はどうなのかというような調査を欠いているというのではないかと、法律上はそういう者を置くという義務付けになりますけれども、そういった面も指摘がありました。私も、その辺は問題があろうと考えております。ただ、法律上の規定の中でのそういった趣旨として、メリット等については客観性の問題あるいは利益相反の問題、そういったものはあると考えております。
 さて、次に企業における女性活躍についてお尋ねします。
 内閣府男女共同参画局は、女性の活躍状況の見える化として様々な情報を公開されています。本日、参考資料としてカラーのものを出しておりますけれども、企業における見える化の一部をこの中で示しているわけですけれども、まず政府参考人にお伺いします。
 社会における女性活躍は、ダイバーシティーの推進にもつながるものであり、その重要性、必要性については今更言うまでもないと思います。今年三月、内閣府男女共同参画局は、ESG投資における女性活躍情報の活用状況に関する調査研究を発表しました。この調査研究によると、七割近くの機関投資家が、女性活躍の推進が長期的に企業の成長につながっていくと考えているとのことです。これは、女性の活躍が建前だけでなく、実際に企業の成長に役立つことを示すものであると言えます。
 また、安倍内閣にとっても、女性の活躍推進は我が国の持続的成長のために不可欠であり、最重要課題の一つであるとされています。二〇一三年四月、安倍総理は経済界に対し、役員に一人は女性を登用していただきたいとの要請をされました。そして、二〇一五年十二月に閣議決定された第四次男女共同参画基本計画では、上場企業役員に占める女性の割合を早期に五%、さらに二〇二〇年には一〇%を目指すとの目標を定めました。
 そこで、現時点での上場企業における女性役員の割合を内閣府にお尋ねいたします。
○政府参考人(池永肇恵君) お答えいたします。
 令和元年七月末時点において、上場企業における女性役員割合は五・二%となっております。
○高良鉄美 今ありましたように、五%台ということです。これは今年の時点ですので、来年が二〇二〇年で一〇%を目指すということになっています。四年で五%ということですけれども、あと五%を一年で達成しないといけないと、こういうようなことですので、かなり難しい状況になっているんだと思われます。
 男女共同参画局のウエブサイトでは、女性リーダー育成に向けた諸外国の取組に関する調査研究が発表されています。この中で、前回の二〇一四年の会社法改正における社外取締役に関する改正は、政府が取り組んだ女性役員登用に関連する制度改正として紹介されています。つまり、これ、社外取締役というのを新たな形で義務付けるとしても、それはやはり女性の社外取締役というのがある程度想定、盛り込まれているんじゃないかということですね。
 今回の改正では、この規定が改正されて、社外取締役の設置が義務付けられるということになりますけれども、女性活躍推進の重要性に鑑み、なかなか増えない女性取締役を増やすために、この女性取締役という言葉は入っていませんが、その設置も、今回の中に会社法で義務付けるべきだと思いますけれども、森大臣の見解を伺います。
○国務大臣(森まさこ君) 女性が会社にかかわらず様々な組織の意思決定手続の中に参画をすることが大変重要だと思っております。しかし、そのことについては、そのような調査結果があるのかなどの定量的なデータの証明を求められるなどの非常に苦労がございました。
 私、二〇一二年に男女共同参画大臣になり、上場企業に女性役員を入れることについて、経団連始めとした経済三団体に官邸に来ていただきまして、その当時、経団連のメンバー企業、ほとんど女性取締役がいなかったので、少なくとも一人は、まず最初は一人から女性取締役を入れることということについて御提案を申し上げ、そして経団連を始めとした経済三団体に御了承をいただいて、その翌日から女性取締役が入っていくようになったわけでございます。
 ここに提出いただいた高良委員の提出資料の女性取締役の割合でございますが、二〇一二年の前の二〇〇七年から二〇一一年までは、女性取締役の数は〇・二ということでもうほぼ横ばいで推移しており、全くその壁が崩せないという現状でございました。しかし、今はこのように増えてきております。
 実際に女性取締役になった女性の皆様方と常に意見を交換しておりますが、大変厳しい環境の中で頑張っておられます。そういった方々に対して、先ほどからも、やっぱり人材の育成ということが大事ですけれども、その場に就いたときのその皆様方、御支援を申し上げる、そして育成に力を入れていくということで制度が、また中身も伴ってくるものだというふうに思っています。
 取締役の構成員には相応の知識、経験、能力がバランスよく備わっていることが必要でございますが、ジェンダーを含む多様性、こういったものに十分に配慮をしていくことも、また、先ほど申し上げた株式会社の従業員を含む多様なステークホルダーの利益に資するような会社経営にも私は貢献できるものと考えております。
 今現在、日本において、国連のコフィー・アナン事務総長が提唱いたしましたESG投資、この委員会の委員に日本人が初めて選ばれました。アジア人で初めて選ばれました。そして、イギリスの三〇%ルールにも参画いたしました。そういった取組を政府として支援をしてまいりたいと思います。
○委員長(竹谷とし子君) お時間を過ぎておりますので、おまとめください。
○国務大臣(森まさこ君) 申し訳ございません、済みません、今間違って、訂正をいたします。高良委員の提出資料ではございませんでした。おわびして訂正いたします。
○高良鉄美 もうまとめるというよりは、今の御姿勢をまた評価しながら、しっかりとやっていただければと思います。
 ただ、まだ日本の世界の中における女性の地位というのは特に政治と経済の場面で非常に低いんだと、百位以下であるということを我々は認識をしながら考えていきたいと思います。
 ありがとうございました。

2R会社法改正案参考人質疑

○高良鉄美 今日、御三方、ありがとうございます。
 もう大分いろんな話題が出て、今日、議題というか課題も出たと思いますけれども、私の方からは、先ほど少しありましたけれども、社外取締役の問題ですね、その問題について、どのような働きをするのかとさっきから出ていますけれども、藤田参考人はまだ分からないと、いい面もあれば悪い面もあるし、実態的な実証調査も必要じゃないかということで、かなり慎重論を展開されていましたけれども、その辺りからすると、ほかのこの会社法、今回の改正全体とこの社外取締役の問題、義務付けというのを、これは一連のものでしょうか、それとも、可分というんですかね、その条項だけを外すとか、あるいは御自身の考えの中ではそこだけは慎重論で、そこはもう残りがあるから賛成しているということなんでしょうか。
○参考人(藤田友敬君) 全く私の個人的意見を申し上げるということにどれだけ意義があるかよく分からないのですけれども。
 私は、これ、今回の社外取締役設置強制に限定して言えば、やや消極的な賛成。つまり、こういう一名の強制であれば少なくとも積極的な弊害はないだろうから、海外の投資家などの信頼確保からの、日本の資本市場の信頼確保のために必要だという声が強いのであれば、あえて反対までは、絶対反対まではしないというスタンスであります。これが落ちたから大変今回の改正に意味がなくなってしまうとまでは思ってはおりません。
 ただし、念のために誤解のないように申し上げておきたいのは、私は、社外取締役に意味がないとか、あるいは社外取締役は日本では役に立たないとか言っているわけでは決してございません。全ての会社に一律に規制するハードローが今の現段階で、実証的な答えがはっきりしない段階で必要かどうかについては議論の余地があると申し上げただけで、しかも、一名だけであれば、必ずしも弊害があるとも、もう既にほとんどの会社では入っていますので、ないので問題はないとは思ってはおります。
 結局、どのような会社だとどのぐらいの社外者が望ましいか、あるいは取締役会としてどの程度独立性を高めたいかなどといったことによって相当社外取締役のニーズ等も変わってくるのですが、ただ、今、日本の取締役会というのは大きく変革期にありまして、経営陣からの独立性あるいは特定の利害関係人からの独立性というのを強く求められるようになってきています。
 そういう意味では、長期的には社外取締役を多くの会社において、全てかどうかはともかく、多くの会社において増やしていくということは避けられない傾向ではないかと思いますので、そういう意味では、今回これを入れたことそれ自身がそのような流れとは整合的ではあるとは評価してよいかと思っております。
○高良鉄美 長期的なお話ということでお伺いしましたけれども、まだ、先ほど幾つかの弊害のお話がありましたけれども、実際に機能しているのかということでの御意見もありましたし。
 そうすると、九九・九%という、大企業の場合はですね、持っていると、もう既にといった場合に、その判断をやはり法的に義務付けて社外取締役を置くということの意味というのを、先ほども消極的だ、やや消極的だとおっしゃいましたけれども、そういった面において、今の会社の動きであれば、もし国際的な判断とかいろんなことを考えるのであれば、この〇・一%の会社も、当然ながら、そういう自分たちの会社を大きくしたい、あるいはいろんな国際的な視点に合いたいと、合致したいというのであれば、当然また社外取締役を置くでしょうし。そうなると、これはやっぱりまた法的にわざわざ法律の規定として置く必要性、あるいは今回の緊急性とか、喫緊の課題なのかどうかというような点で、まだ私の方は、反対というよりも、やはり先生おっしゃったような、実際の実証がされていないんじゃないかという面で、どういう社外取締役の像がきちんと、今九九・九%行われているところで一体どういうふうな形になっているのかと。
 それ、パーセントとかいろいろ出るわけですけれども、そういったところで、それでもやはり義務付けの問題というのは将来的に、今この規定を入れた方がいいのかというのは、藤田先生、それから大久保先生にもお聞きしたいんですけれども。
○参考人(藤田友敬君) 私の意見と極めて近いお立場からの発言ですので、なかなか回答が難しいのでございますが。
 私の個人的立場はともかくとして、このハードローである会社法による設置強制を強く推進する側の方の意見を私なりにそんたくいたしますと、ハードロー、つまりもう簡単には改正できない。ソフトローですと、また改正というのも柔軟にできますし、例外も柔軟に認め得るところを、そうではない形ではっきり定めることは、日本の会社法制は社外取締役を導入し、取締役会の独立性を高めるという方向性に不可逆に一歩踏み出すという強いメッセージになる、そして、そういう強いメッセージを海外の投資家に発信することが日本の資本市場のためになるんだと、こういうロジックで説明するんだと思います。これに似たような表現は、恐らく法制審議会の議事録で一部の委員から出されたものだと思います。
 実験的な段階、実証的な段階を踏まえてからでも間に合うんじゃないかという少数意見に対して、いや、今メッセージを発すべきだという強い声があったと。そういうものとして、この改正法案ではそれが提案されているというふうに理解して、一応理解できる提案ではあるとは思います。
○参考人(大久保拓也君) 社外取締役の導入に関しては、平成二十六年の段階では、一定の公開大会社に社外取締役を、設置の義務付けはしなかったんですけれども、相当でない理由を総会で説明すると、こういう形で、遵守しなければ説明を求めると、こういう仕組みで導入を求めてきたと、こういうような経緯があります。
 現在は、九九%でしょうか、ほとんどの企業で導入をしているということになりますので、この社外取締役を義務付けをしていくことによって、この社外の取締役に、次はどのような実体的な機能が、役割が果たされるのか、この点を考えておくということが必要になるのではないかと思います。
 そこで、やはり会社の不祥事などが出てきている昨今の状況もありますので、社外取締役が導入されている場合、多くの場合ですと、内部統制システムのその機能の中核を担うところの位置付けに当たるだろうと、社外取締役の導入によって違法行為のチェックなど、そういった体制が行われるんだろうということからしますと、やはりこの社外取締役が導入されることによって、違法行為のチェック体制、これはある程度整備されてくることになるのではないかというふうに考えております。
○高良鉄美 ありがとうございました。
 この社外取締役の今のあるべき姿としては、言われたように、内部統制の問題として、いろんな不祥事やいろんなものに対して、外からの意見とチェックと権限と。そうすると、やっぱり権限はどのようなものが、ほかの取締役に比べてですね、あるいは社外取締役との違いみたいな、そういうのも必要になってくるかと思うんですけれども、あるいは、それは恐らく法律上は出てこなくて、先ほどのソフトローの中でやっていくということで、そういうような形で考えておられるということでよろしいでしょうか、大久保参考人。
○参考人(大久保拓也君) 社外取締役を一名だけ入れてそれで十分機能するのかと、こういうような議論は、社外監査役などの監査役を導入したときの議論でも随分問題となりまして、そのときには、社外の監査役も複数導入すると、こういう形で体制を整えて、発言をしやすい体制、これをつくって違法行為のチェック体制をつくる、こういうふうに取り扱ってきたということになりますので、やはりこの社外の取締役を導入したというだけでは十分にその権限が行使できないということになるとすると、例えば内部統制システムなどの導入とともに、その社外取締役がその違法行為のチェックの権限を担っていくことになっていきますので、そのような体制が整えられてくれば、社外取締役を導入したというだけではなくて、法令を遵守させる体制がより機能した形で整備されるんじゃないかと思います。
○高良鉄美 社外取締役も、やっぱりガバナンスという面からすれば、会社は社会の公器という松下幸之助氏の話がありますけれども、それからいうと、やっぱり社会、地域、従業員、その他のいろんなファクター、もちろん株主もあるでしょうけれども、会社がどういうふうな信頼と業績を上げていくかということに対してかなり広範に関連してくるということになると、今言った、今ちょうど先生の答えのような、この社外取締役の役割とかあるいは機能、あるいはその行動というものも随分変わってくるのかなと思うんですけれども、やっぱりそれに必要な情報公開ですね、そういったシステムというのをずっと掛け合わせなければかなり難しい問題になってきますので、そういった点をまた整備をしていくということもまた一つの議論かなと思っています。
 そこで、社外取締役の件で、ちょっとこれ、木村参考人にお聞きしたいんですけれども、先ほどの指標ですか、いろいろ、この見どころ、聞きどころの中にあります、女性登用の推進というのがありましたが、この女性登用をこの社外取締役の中にこれから入れていくとか、いろんな意味で、この女性の登用というのを考えてこのポイントで出てきているのは、これは社外取締役の辺りも、想定というか範囲に入っているでしょうか。
○参考人(木村結君) もちろん、社外に限らず、取締役は、実は、東京電力にかつて三十二名の取締役がおりまして、全て男性でした。ですから、壇上に居並ぶ人たちは、五十人くらい居並ぶわけですけど、全員男性なんですね。黒子に徹している株式課の人とか文書課の担当者とか、そういう人たちも全員男性でございまして、ちょっと異様な雰囲気があるのが株主総会なのかなというふうに思っておりまして、圧倒的に女性、株主も女性がほとんどいないという状況の中に入っていったので、私は恐怖を覚えたんですけれども。
 それから、私たちは、その三十二名は多過ぎるということで半分にしなさいという提案もいたしまして、それが二、三年後に十七名かな、十九名かな、になりました。約半分になりました。ただ、そこには女性もおりませんでしたので、私たちは、もっと部課長クラス、それから役員、そういう人たち、決定権を持っているところに女性を半分は、最低半分は入れるべきであるということで提案をいたしましたので、それはもう本当に日本では当たり前ではないんですね、残念ながら。先ほど高良議員もおっしゃったように、今百十番目でございます。特に経済。経済は何かといったら、やっぱり取締役とか会社の決定権を持っているところに女性がほとんどいないという状況で、日本は百四十九か国の中でもう最下位に近いんですね。それと、あと皆さんのお仕事の国会議員でございます。こちらも最下位に近いんですね。
 じゃ、何で日本は百十位になっているかというと、寿命が女性は世界一長いので、健康的な面、それからあとは教育の面、女性もかなり大学に入るようになったと。その教育の面と寿命の面で日本の女性はトップクラスであるので、本来は百四十九に甘んじるところを百十番目になっているというのが今の現状でございますので、やはり社会の構成員が男女ほぼ同じであれば、会社の取締役とか決定権者も同数になるべきではないかということで提案させていただいております。残念ながら非常に低かったです、賛成票。
○高良鉄美 もう時間もなくなりましたので、そのコメントというんですか、先ほど、国際的な視点からの日本の企業の評価というものが社外取締役を置くことでもちろん上がっていくというのがありますが、その機能を十分社外取締役が果たさなきゃいけないであろうし、この女性の登用も同じで、女性の登用がどれだけ情報公開の中で登用されているかというのは、これ、投資家の本当に視点だと思うんですね。そういった面も含めて、やっぱりまたこの委員会でもいろいろ議論ができたらと思います。
 今日はありがとうございます。ありがとうございました。