国会質疑 Interpellation

2023年12月6日 参議院 政府開発援助及び沖縄・北方問題に関する特別委員会 

質問内容

・沖縄防衛局要請における人数制限について

・北部訓練場跡地の米軍の廃棄物の処理について

・日台漁業協定及び先島諸島での漁家経営に対する支援について

議事録

第212回国会 参議院 政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会 第3号 令和5年12月6日

○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美です。
 沖縄防衛局要請における人数制限について伺います。
 沖縄県選出の国会議員は、米軍基地に起因する、例えば、弾薬庫建設やミサイル基地建設に対する反対、それからオスプレイの飛行停止等、市民団体とともに沖縄防衛局に要請をしてきました。沖縄防衛局要請の出席者は、国会議員を含めて五名までの出席しか許可されていません。これはコロナ対策として始まったのですけれども、現在はこの人数の制限を行う必要はもうないんじゃないかと思います。国会議員は局長に対応していただくために市民団体の要望で同行する立場ですけれども、五人の枠に入れずに出席できない、その場にいながら出席できない国会議員もいるわけです。
 五人枠は見直すべきではないですかということで防衛省に伺いたいと思います。
○政府参考人(山野徹君) お答え申し上げます。
 沖縄防衛局におきまして要請書等を受け取る際に要請者の人数を五名までに制限していることは承知をしているところでございまして、今後早急に見直す考えでございます。
○高良鉄美君 ありがとうございます。
 やっぱり、広い部屋にたった五人でいるというのも、何かこれ嫌がらせかなと思うような人もいるということなんですね。やっぱり、那覇であったこの沖縄防衛局がわざわざ嘉手納にということで、嘉手納町の要望だったわけです。移転していますね、今ね。ですから、沖縄の立場に立って一緒にこの米軍の問題を共有して本省に上げていただきたいと、そういう気持ちからですからね。中には、もう沖縄防衛局じゃなくて米軍防衛局じゃないかと、こういうようなやゆもあるので、しっかりとそういうふうにならないよう頑張っていただきたいと思います。
 次に、北部訓練場跡地の米軍の廃棄物の処理について質問します。
 世界自然遺産に登録された沖縄本島北部に隣接する北部訓練場は、かつて七千五百ヘクタールを有する沖縄最大の米軍基地、米軍施設・区域でしたが、七年ほど前に四千ヘクタールが返還されました。かなり大きくて、これは那覇市がすっぽり入る広さです、この返還地がですね。ところが、この返還跡地からドラム缶や土のう、空包あるいは薬きょうなど、アメリカ軍のものと見られる廃棄物が残され、長らく放置されています。チョウ類研究家の宮城秋乃さんが発見した弾薬類などの写真が今日の配付資料の沖縄タイムスの記事で紹介されております。
 沖縄タイムスの記者によると、二〇一六年十二月に北部訓練場の過半が返還されて以降、沖縄防衛局の事業で回収された廃棄物の種類と総量は、瓶、缶、プラスチック等の混合ごみが約一万七千キログラム、テレビ、エアコンが三台、凹凸のある大型鉄板二百六十三枚、一万四千七百十キログラムですね、空包類約五万二千発もあり、当局が実施した事業に要した費用は、返還から二〇二二年までの実績で約七億円を要しています。つまり、米軍のごみに七億円も使ったということです。
 今年十月、沖縄県環境部の職員五人と宮城秋乃さんが五時間を掛けて視察されています。日米地位協定にはアメリカ軍が基地として使った土地の原状回復義務がないために、返還に伴い原状回復の役割を担っているのは日本側になりますが、国が調査した場所は返還地全体の僅か〇・〇一%ほどにとどまっています。
 二〇二二年度に沖縄防衛局が実施した最新の調査で、それでも、〇・六ヘクタールから廃プラスチックや金属くずなど二千五百キログラムに加え、一万四千発余りの空包が見付かったということです。これは〇・六ヘクタールの中にですよ。廃棄物が新たに見付かれば適切に対応するとしていますが、具体的な調査範囲や計画は明らかにされていません。
 返還跡地では、これまで、体に悪影響を及ぼす化学物質PCBを含んだドラム缶なども次々と見付かっていて、国による支障除去は不十分だったと言わざるを得ません。世界自然遺産ですよ。
 原状回復に向けた進捗状況及び今後どのように原状回復していくのか、防衛省に伺います。お願いします、具体的に。
○政府参考人(山野徹君) お答え申し上げます。
 沖縄県における米軍施設・区域の返還に際しましては、跡地利用特措法の規定に基づき、返還地の有効かつ適切な利用が図られるよう、防衛省におきまして、返還地を土地所有者等に引き渡す前に土壌汚染調査等の支障除去措置を講じているところでございます。
 御指摘の北部訓練場の返還に際しましては、国立公園への編入や世界自然遺産登録を目指す地元の御意向等を踏まえ、希少動植物の生態系に配慮しつつ、速やかな跡地利用が可能となるよう、廃棄物等が存在する蓋然性が高い範囲で支障除去措置を実施したところでございます。
 なお、当該支障除去を実施するに当たりましては、土壌汚染対策法に定める手順を基に、外部有識者の監修の下、返還地全域を対象とした汚染等の蓋然性を把握するための資料等調査を実施したほか、事前に土地所有者や関係機関に対する説明も行っているところでございます。
 さらに、土地の引渡後も返還地から新たに廃棄物等が発見された場合には、土地所有者や関係機関と調整の上、防衛省において回収し、適切に処分を行っているところでございます。
 防衛省といたしましては、引き続き、新たに廃棄物等が確認された場合には、土地所有者や関係機関と調整の上、適切に対応してまいりたいと考えております。
○高良鉄美君 米軍のごみをどうするかということですけれども、この汚染者負担の原則、これは、アメリカでは米軍が汚染した場所は米軍自身がきれいにしないといけないと。それで、ほかの国でも同じように米軍はやっているわけです、きれいにするということ。でも、日本では汚染物質を放置しているわけです。この差別的な日米地位協定は見直すべきです、これは。
 二〇一六年十二月に、先ほど、地位協定の関連でいえば、あのオスプレイの墜落もありましたけれども、二〇一六年十二月に名護市でオスプレイが墜落した際にも不時着水とされましたけれども、名護市は安部海岸に墜落とホームページに書いています。この墜落によって大破したオスプレイの写真も掲載されました。
 米軍は、事故の僅か六日後にオスプレイの飛行を再開し、三週間後にはこの事故原因とされている極めて危険な空中給油訓練を再開しました。当時は、政府の自粛要請後、一日もたたないうちに普天間からオスプレイが飛び立っています。しかも、沖縄防衛局によると、夜十時を過ぎて夜間飛行を行っていました。最終報告も出ていない中で、安全性の確認もないままオスプレイの飛行再開を認めてしまった。政府は批判の的ですよ、こういうのは。
 名護市の墜落事故で最も衝撃だったのは、この墜落だけじゃないんです。日本の防衛大臣の自粛要請をも米軍は無視できるということなんです。米軍が運用上必要と考えればいつでも飛行を再開できるわけです。これは不平等な日米地位協定があるためです。日米地位協定がある限り、日本政府は米軍に対し無力であるということを改めて明確にしたと思います。抜本的に改定するのを考えてみないと、これ大変なことになりますよ。今回の屋久島のものもそういったものになると思います。実際、やっぱり沖縄ではもうその事故のときもずっと飛んでいますよ、屋久島の事故の後も。昨日も、おとといもですね。そういうことでございます。
 それでは、最後に、日台漁業協定及び先島諸島での漁家経営に対する支援について質問します。
 二〇一三年に締結された日台漁業協定から十年が経過しました。毎年四月から七月のクロマグロ漁期において、先島北方海域で台湾船の操業が昼夜を問わず行われ、日本船の操業ができない状態が恒常化しています。近年では、南側海域ですね、先島の南側海域でも台湾船の出現が確認されています。通常操業はますます困難になっており、漁家経営が厳しい状況に追い込まれています。
 台湾船は、漁具への装備が禁止されているAISを使用し、潮流などの影響による日本側への漁具の流出を管理しています。外国船とのトラブルを極力対処できるように、日本側もGPSでの操業漁具の管理が可能となりましたが、GPSのブイはメーカーが値上げをしているため、漁業関係者からは更なる予算が必要だとの声が上がっています。この値上げは倍です。もう漁業をやっている方の、五十万とか百万までだったらというのが、これ二百万に上がっているわけですよ。
 そういったものをサポートしないといけないんじゃないかということで、予算を確保すべきではないですかということで、内閣府にお尋ねします。
○政府参考人(望月明雄君) お答え申し上げます。
 一般論といたしましては、外国漁船の操業によります影響を受ける漁業者への経営支援、こちらにつきましては、農林水産省が所管としまして予算措置等をしているものというふうに承知しております。
 しかしながら、漁業は、沖縄、とりわけ離島地域等におきましては重要な産業でございます。沖縄振興を所管する立場としましても、議員の問題意識、また御指摘の先島諸島への漁業支援、こういったことにつきまして農林水産省の方にしっかりと伝えてまいりたいと思います。
○高良鉄美君 よろしくお願いします。
 先ほども紙委員から北方地域の漁業、操業の問題についてありましたけれども、沖縄の漁業は、先島地域は特に、そこに一番近い島は台湾です。これはもう国境になっていますのでね。やっぱりそういった状況にあるということを一応念頭に置きまして、しかも、やっぱり安心して操業ができるということは、やっぱりその地域、今ミサイル配備がいろいろあるので、これは漁民にとっても安心してできない理由がいっぱいあるわけですね。そういう中で、こういった装備をきちんと確保し、予算を確保して、GPSの対応をできるようにしていただけるようお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。