国会質疑 Interpellation

2023年3月17日 参議院 法務委員会

議事録

第211回国会 参議院 法務委員会 第15号 令和5年5月18日

○仁比聡平君 前段で次長が今お話しになったことがこれまでの入管収容の根本にある考え方で、それが構造的な人権侵害だと私は言っている。そして、私だけじゃない、国際人権機関から厳しく批判をされている。大臣も、与党の議員の皆さんも、今皆さんが押し通そうとしている法案がどんな性格のものなのか、今の答弁ではっきりしたでしょう。
 そこで、沖縄の風の高良発議者に、私は、この野党対案の国際人権法や憲法に照らした収容などの考え方についてお尋ねをしたいと思うんですね。
 私は、たとえ送還ということの対象が人だからといって、その拘束をするにはデュープロセスが必要だと思います。憲法三十一条はそのことを定めている。その必要性、合理性を判断する、例えば、先ほど公明党の佐々木議員が真に必要なという収容というような言葉を使われましたけど、それを判断する、人類が生み出してきたデュープロセスのありようというのは、基本的に対審制ですよ、対審構造ですよ。当事者がきちんとその必要性について争う。
 相当性の判断を入国審査官が自分だけでやるという、この行政の裁量のみで判断するというこの在り方はおかしいですよ。それは送還ありきということじゃありませんか。送還をしなきゃいけないからそういうふうな制度にしているんですというのが、今、先ほど次長が言ったことの、結局端的に言えば、くくれば、そういうことですよ。
 送還ありき、これは私は憲法違反だと思いますが、高良さん、いかがでしょう。
○委員以外の議員(高良鉄美君) 御質問ありがとうございます。
 まず、先ほどもありましたけれども、現在の入管庁において外国人の人権尊重に対する意識、認識が決定的に欠けているという、そのことが難民等の認定や収容に関する様々な問題を生んでいるわけです。
 野党案では、外国人の基本的人権の保障を法律で制度的に担保しています。基本的人権の尊重、これはもちろん憲法上の原理ですけれども、この基本的人権を世界で初めて憲法に盛り込んだのが日本国憲法だと言われています。本来保護されるべき外国人が適正に保護されていない現状を早急かつ実効的に改善する必要から、野党の入管法等改正案や難民等の保護に関する法律案では、この身体の自由という最も重要な法益を保護することを重視して盛り込んでいます。この身体の自由、これもう人権の基本ということで、この身体の自由がなければ自由権そのものが存在しないと言われるほど重要な権利なんです。
 そもそも憲法の目的は人権保障であり、そのために国家権力を縛る、制限する規範になっているわけです。国家権力、ここではもう入管庁による人権の侵害の問題ですけれども、それをチェックする第三者機関である難民等保護委員会が審査する仕組み、これを盛り込んでいるのが野党案であり、外国人の憲法三十二条で言う裁判を受ける権利について配慮しているのも野党案です。
 外国人に対して保障している基本的人権というのは、基本的な人間の権利です。性質上、外国人とか国民とか、そこで分けているわけじゃないんです。
 そこを考えてみますと、今サミットがありますけれども、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有する国々とG7サミットを開催するということですけれども、政府案は、この人権保障、憲法の最高法規性、司法権の重視、適正手続の保障を内容とする法の支配にかなっていません。G7の国々と普遍的価値を共有するのは、むしろ野党案であると断言できると思います。