2020年4月15日 参議院 東日本大震災復興特別委員会 復興大臣の所信に対する質疑
質問内容
・災害発生時からの被災者支援について
議事録
第201回国会 参議院 東日本大震災復興特別委員会 第4号 令和2年4月15日
○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美でございます。
先週、先月といいますか、十日の話ですけれども、米軍普天間飛行場から発がん性の指摘される有機フッ素化合物の一種PFOSを含む泡消火剤が基地の外へ流出するという、あってはならない問題が発生しました。二〇〇七年からもう七件目です。しかしながら、米軍がきちんと対処しないため、沖縄県民は、新型コロナウイルス感染の恐怖の中、発がん物質による健康被害の恐怖をも覚えているということです。
沖縄の問題は、この問題というのは、今朝の東京新聞にも載っておりましたが、一般的に在京メディアは余り報じられていないため、現場のこの問題が共有されることはとても難しい状況です。それは、現場ということが、先ほどからずっと現場主義出ておりますけれども、原発事故の被災地福島も同じではないかと思います。国のエネルギー政策の犠牲となっている福島と安全保障政策の犠牲となっている沖縄の県民の生命と財産が軽んじられることのないように求めて、質問に入りたいと思います。
今日は、災害発生時からの被災者支援についてお伺いします。
田中大臣は所信表明で、復興担当大臣として、現場主義を徹底し、被災者に寄り添うと述べられました。まさに現場で被災者に寄り添って支援活動を行っているソーシャルワーカーの方々から提言をいただき、私のところで幾つかまとめてありますが、その一部、紹介したいと思います。
災害救助法には福祉の文言はなく、今もって、保健医療調整本部は存在しても、そこに福祉の文言はありません。災害時の福祉支援体制の整備に向けたガイドラインは二〇一八年五月三十一日付けで出されていますが、保健医療と福祉の分断は解消されずに現在に至っています。このガイドラインに示される災害派遣福祉チームには、昨年十一月時点でさえ三千名程度しか登録されておらず、法的根拠もない中で福祉人材の善意に頼ったまま改善されていない状況と言わざるを得ません。
公益社団法人の日本医療社会福祉協会は、被災した石巻の急性期から復興期までを通して活動されていますが、行政との連携の中で、相談業務は専門職がその任に当たらなければ問題が先送りされ、より深刻化するというふうに指摘されています。
石巻市では、震災直後の二〇一一年四月から、福祉的避難所にソーシャルワーカーが半年間で延べ七百人派遣され、災害弱者と呼ばれる方々の支援に当たってこられました。その後の常総水害、熊本大地震、岡山、広島水害時の支援をつなぐ中で、保健医療・福祉連携の課題が大きいことを痛感されています。
二〇一一年から二〇一三年まで、東京の本部機能と現地責任者の役割を決め、現地責任者は協会職員として現場の判断を尊重する体制で支援されてきたということです。石巻市は専門職の支援の重要性を認識されており、二〇一四年度からは委託事業として行っているということです。
そこで、まず生活支援関係機関との連携についてお伺いします。
災害時には、生活を支えていた医療・福祉サービス、家族、コミュニティー、学校等のつながりが切れてしまう、喪失されてしまう状況が即座に生じる事態となるので、新たにつなぐ若しくはつなぎ直す支援に携わる支援者が必要となります。災害時に不安なく生活をするためにはこうした支援が不可欠であり、日頃から生活支援や関係機関との連携を当たり前の支援として行っていくべきだと思いますが、政府参考人にこれに関して御意見、御見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(大坪寛子君) お答え申し上げます。
厚生労働省では、平成二十九年の七月に、大規模発生災害時の保健医療活動に係る体制整備に関する通知を発出をしておりまして、災害発生時には各都道府県におきまして保健医療活動の総合調整機能を講ずるように本部の構築などの通知を出しております。
具体的に申し上げますと、防災部局ですとか保健医療部局、様々都道府県の中で切れてしまいませんように、こういった調整本部を立ち上げまして、被災状況の情報ですとかニーズ、こういったものを一元的に収集、整理するような仕組み、こういったものを構築をお願いをしているところでございます。
また、先ほど先生がお話ありました平成三十年五月のガイドライン、この中では各都道府県が取り組むべき基本的な内容に関するものを示しておりまして、これは平時の段階から医療と保健福祉の専門家、こういったチーム間での情報共有の方法ですとか連携の内容をお示しをしております。これを、ガイドラインを参考にして、地域の実情に合った災害時の福祉支援体制の構築に努めていただくように働きかけをしているところでございます。
これにとどまらず、さらに、厚生労働省におきましては、こういった様々な部局間の情報連携の在り方、こういった仕組みがどういうものが好ましいかということにつきましては、現在も引き続き有識者とともに検討を進めておりますところでして、更にこういった取組を進めてまいりたいというふうに考えております。
○高良鉄美君 平時からの連携ということで、今お答えいただきましたけれども、是非検討を進めていただきたいと思います。
このチームですね、チームで対応するということ、非常に重要だと思いますので、都道府県を含めまして情報の連携もお願いしたいと思います。
被災をした対象者の自己決定を促し尊重する、こういう支援活動についてちょっとお伺いしますが、災害時には特に生活再建等について決めなければならない非常に大きな決断を迫られることがありますけれども、場合によってはこの選択肢が限られていると、そういう中で判断をしなきゃならない状況下というのが往々にして現れますが、本人が自分で決められるように最善を尽くすことが重要だと思いますけれども、その支援をしながら本人が最終的に自己決定をするということについての御認識をお伺いします。
○政府参考人(辺見聡君) お答え申し上げます。
被災者の支援に際しましては、その置かれました状況に応じまして、被災者のお気持ちを尊重し、寄り添った支援を行っていくことが重要であると認識しているところでございます。
厚生労働省におきましては、被災された方々のお気持ちを尊重し、寄り添った支援を行うため、被災地の仮設住宅に入居する方々への孤立防止のための見守りですとか、日常生活上の相談支援などを行う被災者見守り・相談支援事業を実施しているところでございます。
今後とも、被災自治体と密接に連携し、被災者に対して必要な支援を実施するよう努めてまいる所存でございます。
○高良鉄美君 被災者支援のこの気持ちを寄り添うということ、非常に大事なことですけれども、このためにやはり、より気持ちに寄り添うという、専門職の方々の援助という手助けを、支援をいただくということ、非常に重要ではないかなと思います。
そこで、避難所の話がありますけれども、福祉避難所というような形で、この早急な整備についてお伺いしたいと思います。
現在、新型コロナウイルスの感染という深刻な状況もあって、それについて対処されていると思いますけれども、今後の災害支援についても大きな示唆を得ているものと先ほどから指摘があるとおりでございますが、まず、災害弱者やそういった方々への支援がより重点的に求められますけれども、必要な医療材料、生活備品、あるいは生活環境、これはもう感染対策も含めてそういったものが整えられるような福祉避難所の整備が必要と思われます。規模、場所、人材も含め全国的に整える必要があると思います。福祉避難所は、医療との連携が取れる仕組み、こういうことがあるということで、専門職スタッフはいろいろ福祉関係も含めた交代要員もあって、そういった体制、あるいは障害や疾患別に配慮した環境が必要であると思います。
災害時に、避難所での生活をちゅうちょして環境の悪い中で在宅生活を続け、本人や家族を含めた体調悪化したケースも多発しております。障害や疾患があっても安心して避難できる福祉避難所を早急に運営する必要があると思いますが、現在もし検討されているようでしたら、それについてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(村手聡君) お答え申し上げます。
福祉避難所は、一般の避難所では生活することが困難な高齢者や障害者などの要配慮者の方々がその状況に応じて特別な配慮が受けられ、安心して生活できる体制を整備した避難所でございまして、必要とする方に利用していただくことが肝要と存じます。
〔理事木戸口英司君退席、委員長着席〕
防災基本計画において、市町村は、必要に応じて福祉避難所を指定するよう努めるものとされてございます。平成三十年十月一日現在、全国に八千六十四か所の福祉避難所が確保されているところでございます。
内閣府といたしましては、福祉避難所の確保・運営に関するガイドラインを自治体に周知いたしまして、発災前の準備や、発災後においては迅速的確な対応が取られるよう促しているところでございます。
また、災害救助法が適用された自治体に対しましては、福祉避難所の運営に要する費用について特別協議の対象といたしまして、自治体と協議の上、必要額を国庫負担とすることとしてございます。加えて、被災自治体に職員を派遣し、被災地のニーズや課題を把握するとともに、紙おむつなど生活に必要な物資のプッシュ型支援を進めているところでございます。
関係府省と連携し、きめ細やかな支援を引き続き図ってまいります。
○高良鉄美君 福祉避難所のガイドラインを含めたお話がありましたけれども、是非また取り組んでいただきたいと思います。これ、現場の実際に福祉職の方々がこれが今は一番必要じゃないかというふうに、そういうふうな声がありまして今日質問したわけでございます。
この避難所、これ、発災した直後から生活再建支援についてどういうふうに当たるかということですけれども、東日本大震災後に災害ケースマネジメントの考えが提唱されて、早期からのライフプランナーあるいは弁護士あるいは建築士等を含めた専門職が多職種チームで相談支援体制が必要と言われていますけれども、中には、支援を求められない人、声を出せない人あるいは問題を理解できない人への支援は見過ごされたり、あるいは遅れがちになったりというふうにしています。
こうした方々への支援は、日頃から実践しているのが福祉職ということですので、この多職種専門家チームに欠かせない要員であると思います。
そういった意味で、いろんな生活再建の支援あるいは経済的な支援だけじゃなくて、ケアも含めて、こういった方々が相談に乗りながらサポートしていくと、こういったことが必要だと思いますけれども、お金をもちろん支援するということも大事ですけれども、この生活を再建する上で非常に、お金の管理というのが場合によっては危険な状況を生むこともあります。そういったことで、個々に合わせて寄り添った支援ということで、それが経済的な支援と一緒に整合性を持って対応するということが重要だと思いますけれども、政府の御認識をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(辺見聡君) お答え申し上げます。
被災者の生活の再建に当たりましては、被災者一人一人に寄り添い、被災者の方が困難と感じている事情、状況等を把握し、その状況等に応じた支援を行っていくことが必要でございます。このため、福祉の専門職も含めました様々な職種が連携して支援するということが必要であるところでございます。
厚生労働省におきましては、避難所において、被災された方が抱える課題を解決するための相談支援等に取り組む社会福祉士や介護福祉士などの福祉の専門職で構成された災害派遣福祉チーム、いわゆるDWATの組織編成などを行う都道府県の取組を支援しているところでございます。
厚生労働省としては、被災者生活再建支援法を所管する内閣府とも連携し、被災者一人一人が抱える課題に応じた支援が提供されるよう取り組んでまいりたいと考えております。
○高良鉄美君 ありがとうございます。
この医療的なものとそれから福祉的なものを一緒にしたようなということで……
○委員長(青木愛君) 時間が来ておりますので、おまとめください。
○高良鉄美君 医療ソーシャルワーカーというものがあるようですけれども、大臣にお伺いをしたかったんですが、もう時間がありませんので、是非そういった意味では、被災者に寄り添うという現場主義の所信を表明されましたので、しっかりまた対応していただければと思います。
これで質問を終わります。