国会質疑 Interpellation

2024年6月12日 参議院 憲法審査会

質問内容

・憲法の規定について

議事録

第213回国会 参議院 憲法審査会 第5号 令和6年6月12日

○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美です。
 今回、国民投票法についていろいろ調べましたけれども、まず、憲法改正に係るこの憲法の規定、九十六条の規定の特徴に触れたいと思います。
 国家権力による恣意的な改正を許さないように、手続等において通常の法律よりも成立要件が厳しい、いわゆる硬い憲法、硬性憲法になっています。世界各国の憲法はほとんどが硬性憲法であり、日本国憲法も例に漏れません。硬性憲法であることは、憲法が憲法自らを保障している憲法保障の一端であり、日本国憲法は、自ら立憲主義、法の支配を貫徹するため、九十六条において、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で国会が発議することと、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とするという規定を置いています。改憲手続法、いわゆるこの国民投票法の規定は、少なくともこの憲法九十六条の目的、内容、規定などと整合性を持つ、あるいはこれと同等の比率を持たなければならないと思います。
 立憲主義や法の支配の原理を根底に置いていること、また、憲法制定権力は国会にあるのではなくて主権者である国民にあることからすると、憲法九十六条の過半数というのは、国民、いわゆる主権者としての国民の総数の過半数ということが憲法の規定と最も整合的な捉え方だと言えます。また、各議院の総議員の三分の二と同程度の硬さ、硬性が求められているということも一致をしていると思います。
 主権者、有権者の総数の過半数の賛成であれば、投票率が五割だとしても全員が賛成投票であればこれは異論なく国民の過半数であり、憲法改正に求められる特別多数を満たすものと言わざるを得ません。それこそ、文句の付けようがない憲法改正のレファレンダムと言えると思います。
 最低投票率の定めもなくごく僅かの投票者のみで決しようとしていることは、国民投票イコール主権者の意思表明という意義を失ってしまいます。大半の国民が憲法改正をしようとは思わない状態、つまり、積極的に変える投票行動を起こさない、あるいはそこまでして変える必要はないという消極的意思であり、残りの少数で決まってしまうということがいかに不合理で、法の支配から離れた人の支配に陥った状態であることの表れと言えます。
 ほかにも多くの問題点がありますけれども、先ほど来、放送の問題やいろいろありました。私は、今回、この両院協議会と合同審査会について少し触れたいと思います。
 先ほどの資料の、参議院の法制局にありました、三ページの方に、ちょっと右枠に、突然離れている二つの協議会、両院協議会と、それから合同審査会というのがあります。憲法審査会が二つ、衆議院と参議院であるというのが憲法の規定の中でもしつくられているとすれば、これは、衆議院の憲法審査会、参議院の憲法審査会という形ですので、わざわざ各議院の総議員の三分の二と言っている意味がなくなります、合同審査会は。それと、両院協議会が憲法改正に出てくるというのは、違う意見があったらまたそろえるということになりますので、それも大きな問題だろうと思います。
 最後、今の関連で言いますと、衆議院が今先走りでいろいろやっているからといって参議院が同じようにやることはないということです。憲法の規定からすると、それはそれぞれできちんとやって一方が三分の二に足りなければそれで終わりです。そういう規定をきちんと守らないといけないということを申し上げて、私の意見にしたいと思います。