国会質疑 Interpellation

2024年5月16日 参議院 外交防衛委員会

質問内容

・辺野古新基地建設について

・防衛装備品の調達について

・防衛・風力発電調整法案姓について

議事録

第213回国会 参議院 外交防衛委員会 第13号 令和6年5月16日

○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美です。
 昨日、福岡高裁那覇支部の方で判決があったのは、辺野古の埋立工事に対して住民が、国土交通相が出した、知事を、代執行のような形で今行っていますけれども、その知事の出したものを取り消したという、こういうことに対して住民が裁判を起こしたわけですね。地裁の方は、住民に原告適格がないということで却下しました。しかし、高裁は、いや、そうじゃないと、これを破棄して差し戻しています、地裁に、これはあるんだと。
 その中には、住民が、とにかく騒音がうるさくなるだろうということでこの計画の問題を取り立てた、そして、そのほかの住民は、家ですね、もう自分の家が高地に、高いところにあると、これ高さ制限に引っかかるんじゃないかということで裁判を起こしているわけです。
 そういったことで、きちんと中身に入るということが画期的な意味の裁判になっているんじゃないかなと思います。
 今日も、高度が少し関係するような事例、法案ですけれども、法案に入ります前に、五月九日の本委員会で、私の質問に対する防衛省参考人の答弁について確認したいことがありますので、参考人に伺います。
 配付した資料の米印一を御覧ください。
 私が、一八式防弾ベストは何年までに何セット調達、戦力化する計画かと質問したのに対し、防衛省参考人の青柳局長は、これを明らかすると自衛隊の能力が明らかになるおそれがあると答弁を拒否しました。
 しかし、この一八式防弾ベストは、二〇二二年度予算で約三千六百着、二〇二三年度予算で約七千五百着、二〇二四年度予算では六千着、そして、この防弾ベスト用の防弾板は、二〇二三年度予算で約百式、二〇二四年度予算で約百式と、青柳局長自身が答弁しています。
 将来の調達数というのは、予算に計上されればもう明らかになります。また、防弾ベストが自衛隊の能力になるのは、これが調達された後です。二〇二二年度から二〇二四年度の調達総数、調達数量を答弁しながら、将来の計画については、自衛隊の能力が明らかになるおそれがあるとして答弁を拒否するのはなぜでしょうか、防衛省に伺います。
○政府参考人(青柳肇君) お答えいたします。
 防弾ベストや防弾板は個々の隊員の防護性に直結する装備品でございまして、現在及び将来の保有数、保有状況等に係る情報につきましては、隊員の防護性に係る我が方の能力が明らかにならないよう慎重に取り扱う必要があると考えてございます。
 将来の取得計画を明らかにすることで現在の能力や将来的な能力の推移が推察されるおそれがあることから、その内容につきましてお答えすることは差し控えさせていただきたいと考えております。
 その上で、五月九日の外交防衛委員会、本委員会におきまして、全体像が推定されない範囲で国会においてできるだけ丁寧に御説明するとの観点から、直近の調達数量についてお示しさせていただいたところでございます。
○高良鉄美君 二〇二二年度、二三年度、二四年度とこれ数字が出て、三千六百あるいは七千五百、六千と出ているわけですからね。これ、二四年度というのは今年ですよね、今後ですよね。これから考えると、何で自衛隊のこの能力が明らかになるのか、この辺ちょっとおかしいんじゃないかと思いますね。
 将来的なものというのは、きちんとそろえるんだったらそろえると、計画があるんだったらあると言って、これはもしかすると計画分からないということでしょうね。来年、再来年、その後はもう後で考えるということかもしれませんけれども。まあ、ないと言ってもいいんでしょうかね。正直におっしゃったらどうでしょうか。
 防衛省は、この自衛隊の能力が明らかになるからとしばしば答弁を拒否しています。先ほどもいろんな問題をごまかした形になりましたけれども、もちろん、事の性質上、もう明らかにできないということはもうはっきり分かるものもあると思いますね、そうだろうと。そうであるとしても、納税者への説明をできるだけ尽くす努力をした上で、答弁を控えるのは最小限に限るべきです。
 前回の答弁拒否は、余りにも雑だと言わざるを得ません。日頃から安易に答弁拒否をしているから、あるいはごまかしたりしているから、前回もよく考えずに答弁拒否をしたのではないかと感じたりしました。能力を明らかにする云々と理由を付けても、実際は問題点を隠すための答弁拒否であるケースが多々あるのだと思います。今後は、問題点の指摘は、こういう問題点が出た場合は、これ指摘されたら、何か言われたのではなくて、改善の機会にすると。これ、建設的に捉えて誠実に答弁するように求めます。そうでないと、こういうことがどんどん続いていくということなんですよ。私が指摘したり、あるいは委員の皆さんの指摘というのは、これは改善をすると、より国民のためにするということが大事だということだと思います。
 次に、米印の二を御覧ください。
 私が陸自では予備の調達をしないものなのかと質問したことに対し、予備の装備品という位置付けで調達を行っているわけではないと政府参考人から答弁がありました。続けて、航空機を例に取って、部隊の運用に支障がないよう調達を行っていると説明しています。
 しかし、小銃を例に取って考えると、やっぱり理解できない状況です。例えば、隊員千人の普通科、これはほかの国でいうと歩兵ですけれども、その部隊があるとして、予備の位置付けで調達をしないということは、この部隊には千丁しか小銃がないということでしょうか。それでは、整備のために、あるいは修理のためにメーカーに送り返したら、小銃がない隊員が出て任務に支障が出るように思います。
 防衛省に伺いますが、小銃について、予備の調達がなくても任務に支障が出ない理由を、今私のようにちょっと例を挙げて分かりやすく説明してください。
○政府参考人(青柳肇君) お答えいたします。
 陸上自衛隊におきましては、現在予備の装備品を保有するという考え方を取っているわけではございませんが、個々の装備品の特性に応じて運用に支障が出ないよう整備に努めているところでございます。
 一般的に申し上げて、航空機や船舶といった大型かつ複雑な装備品につきましては、長期間の定期整備等が必要となることから、部隊の運用に支障が出ないよう機体や船舶の可動率を踏まえた装備品の取得が必要になってございます。他方で、部隊で基本的な整備を行うことができるような装備品につきましては、運用できない期間が長期間にわたる可能性が低いことから、取得に当たって可動率等を考慮する必要性は低いものと考えてございます。
 その上で、小銃について申し上げれば、陸上自衛隊の部隊整備や補給処において、点検、調整、整備、表面塗装を行うことが可能であり、運用できない期間が長期間にわたる可能性が低いこと、また、保有数が多いということで柔軟な取り回し、活用が可能であるということから、御指摘の予備の装備品がなくとも運用への影響を考慮する必要性は少ないものと考えてございます。
○高良鉄美君 十分なということは、これは予備の装備品があるということですね。そうじゃないと人数的に合わないと思いますけれども。これだけ言ってもまた同じようなことが出てくるかもしれませんけれども。
 次の質問という前に、前回、石破議員の指摘を読み上げました、このインタビューがありましたけれども。
 防衛省・自衛隊という組織は、他の省庁に比べても、風通しが悪いところがあるのは事実です。私は防衛庁長官、防衛大臣を通算三年ほど務めましたが、国防を真剣に考え、防衛省や自衛隊の改善策などをあれこれと口にすると、部内から疎んじられてしまうこともありました。防衛庁副長官時代、安全保障論の大家である吉原恒雄元拓大教授を副長官室にお招きして、お話を伺ったことがあります。そのとき、自衛隊は好きですかと先生から問われて、好きですと答えると、だったら、あなたはこれから苦労しますよと言われたことがありました。先生は、自衛隊を愛せば愛するほど、あれこれと改善案を口にされるでしょう。そうすると、あなたは部内から疎んじられ、苦労すると思います。残念ながら、防衛庁や自衛隊にはそんな風通しの悪さがあるのですと私に忠告してくださったのです。私は農林水産大臣も務めましたが、農林水産省にはそこまでの風通しの悪さを感じたことはありませんでした。恐らく、防衛大学校の教授の等松教授もそんな風通しの悪さを感じて告発に踏み切ったのでしょう。だからこそ、告発の内容を吟味し、これを一つの契機として改善へと導くべきなのです。
 防衛省の不誠実な答弁には枚挙にいとまがありません。前回明らかになったように、防衛省は一年に七千五百着とか六千着、一八式防弾ベストを取得しています。しかし、それ用の防弾板は年百式しか調達していません。その防弾ベスト用の防弾板の価格が、一つ三百四十一万円とか三百三十万円と極端に高額だったからです。これはおかしいと防衛省内で声が上がり、調達に至る前に、つまり開発段階で改善されなかったのが不思議なくらいです。
 そういった声をですね、出てこないというのが石破議員のおっしゃる風通しの悪さだと思います。外部の批判に耐え得る仕事をしようという意識がないから、つまり、情報を隠すか、その場しのぎの説明をしておけばいいという姿勢でいるから、防衛省内で批判に耐え得るまともな議論が行われなくなったのではないでしょうか。
 こういった点について改善の努力もしないで、防衛費の増額を求める資格などないと。国民の立場からいうと、今苦しいわけですよ。だったら、改善の努力もちゃんとやらないといけないということを申し上げ、議題となっている法案の質問に入ります。
 防衛・風力発電調整法案について伺います。
 本法案においては、電波障害防止区域を指定し、この区域に風力発電設備を設置しようとする場合、事業者に届出の義務が課されます。また、自衛隊や米軍が使用する電波の障害原因と認められる場合は、二年間は工事を進めることができなくなります。
 こうした義務規制は関連事業者にとって非常に重いものであり、民間の事業者の経済活動の停滞を招くだけでなく、日本が世界に後れを取っている自然エネルギーの利活用も後退してしまうのではないかと危惧します。
 このような懸念について、木原大臣はどのような認識をお持ちでしょうか、伺います。
○国務大臣(木原稔君) 風力発電の導入促進というものは、これは政府一丸となって取り組むべき課題であります。
 一方で、風力発電設備の設置場所や規格によっては、私どもが行っております平素からの警戒監視や対領空侵犯措置など、自衛隊によるレーダーを用いた活動に障害を及ぼすおそれがございます。
 こうした状況を踏まえ、本法案は風力発電の導入促進と自衛隊等の活動との調和を図りつつ、風力発電設備が自衛隊等の活動に及ぼす障害を回避するため、風力発電設備の設置者と防衛大臣が事前に調整し、そして解決していくための仕組みを制度化するものでございます。
 したがいまして、今委員がお話しいただいたような、民間のそういった経済活動を停滞させたりであるとか、あるいは風力発電を含む再生可能エネルギーの導入等を後退させたりするものというふうには考えておらず、むしろ事前に協議することで円滑にそういったことが進んでいくと、そういう理解でございます。
○高良鉄美君 本法案の第四条一項においては、風力発電設備の設置者が防衛大臣に届け出ることとされている事項が列挙されています。その中には、当該風力発電設備に係る位置、風車高、形状、工事の請負人の氏名、住所などが挙げられています。
 このほかにも、その他必要な事項として防衛省令で定める事項が含まれています。この条文があることで、本法案が成立して以降、防衛省令で届出事項が際限なく広がり、設置者にとって更なる負担となるだけでなく、最終的には届出をためらわせるような事態になりかねません。
 果たして、その他必要な事項として防衛省令で定める事項とはどういうものが含まれる可能性があるのでしょうか。この法案審議の時点で可能な限り明確にすることが政府の責務であると考えますが、防衛省の見解を伺います。
○政府参考人(加野幸司君) お答え申し上げます。
 本法案につきましては、風力発電設備の設置によりまして自衛隊のレーダー等に著しい障害が生じるおそれがある区域を電波障害防止区域として告示で指定をいたしまして、当該区域内に風力発電設備を設置する場合には設置者に届出を求めるということでございます。
 届出の事項でございますけれども、風力発電設備が自衛隊等の使用する電波の障害原因となるかを判定する上で必要となる事項ということでございまして、御案内いただきましたとおり、風力発電設備の位置、高さ、形状などを考えておりますけれども、それらを含めまして必要な事項については今後防衛省令で定めてまいるということとしておりまして、省令の作成の過程で検討してまいる考えでございます。
○高良鉄美君 作成の過程で検討するということは追加されていくということですので、今の場合だと、届出をするという時点ではなかったものがどんどんどんどん加えられていくと。先ほどもちょっと山添さんの質問にありましたけれども、やっぱり投資の問題とかあるいは資本の問題、いろんなものありましたけれども、これも検討すると言っていますけれども、今法案が出ているわけですね、これ。だから、少なくとも想定が利くようなものを、予想できるものを例として挙げていくということは重要だと思います。
 本法案は、自衛隊だけでなく、米軍の使用する電波の伝搬障害を回避するために風力発電設備の設置を規制するものとなっています。専守防衛の観点では、自衛隊の警戒監視レーダーに関する規制のみで十分過ぎるほどであり、射爆撃場等を念頭に置いた防衛施設や、まして在日米軍の施設も対象として関連事業者の活動を規制するのは理解に苦しみます。
 本法案によって、米軍の戦略に防衛省・自衛隊が一層巻き込まれていくことになるのではないでしょうか。防衛省の認識をお示しください。
○国務大臣(木原稔君) まず、今回の法案の射程は、在日米軍が使用するレーダーについてもそれは保護の対象としているというところであります。
 在日米軍が使用するレーダーについても、これは自衛隊の所有するものと同様に、障害が生じるおそれというのはそれはございます。これを回避して在日米軍の円滑かつ安全な活動を確保すること、これは我が国の防衛の観点から不可欠であるというふうに認識をしております。
 在日米軍は、そういう意味で、平素から訓練を始めとする各種活動というのは行っていますが、風力発電設備の設置によって自衛隊と同様にその活動に障害が生じるおそれがないようにしなきゃいけないという、そういう思いであります。
 本法案では、自衛隊に加えて在日米軍の活動についても保護の対象にし、これによって在日米軍の円滑かつ安全な活動を確保すること、このことは我が国の防衛の観点から必要不可欠であり、我が国の防衛政策はあくまでも我が国の主体的な判断として行いますので、本案の対象に在日米軍を含めることで米軍の戦略に巻き込まれていくということにつながるということには当たらないと考えます。
○高良鉄美君 今回米軍を含むということで、これ自衛隊等の中に含めているわけですけれども、これ、自衛隊と米軍だけであって、等って、幾らでも入ってくるわけでももちろんないでしょうけれども、この米軍は今どこにいるんですかというと、七割は沖縄にあるわけですよね。そうすると、沖縄の中の経済活動はちょっと違うということになりますよ、規制の仕方がね。それもう規制の密度が違うだろうと。
 この辺、沖縄の離島の問題を考えていただくと、離島の中での自然エネルギーですね、やっぱり宮古島のように風力発電がいっぱい建っているところもあるわけですよ。だから、この離島というのはもう大きさが全然違うので、そこの中で更に規制が掛かって、ここからは造れませんとか、そういうふうになるということは大きな支障があるんだということですよ。もう大きさ、まず離島の問題というのをよく考えていただきたいと思うんです。日本本土のような土地じゃないんですよ。
 それを考えると、こういうような形で、しかも米軍が集中していてこの米軍の規制も入るということについて簡単に考えちゃいけないと私は思います。
 本法案の第六条一項において、届出があった風力発電設備が電波障害防止区域において自衛隊や米軍が使用する電波障害原因と認められる場合は、その検討結果を設置者に通知することとされています。
 この検討は、防衛省内及び在日米軍が関わる場合、どういったプロセスで行われるのでしょうか。政府の恣意的な判断につながる懸念がありますので、この場で明確に説明してください。
○国務大臣(木原稔君) 本法案では、風力発電設備の設置により自衛隊のレーダー等に著しい障害が生じるおそれがある区域を電波障害防止区域として告示で指定し、当該区域内に風力発電設備を設置する場合には設置者に届出を求めることとしております。
 防衛省としては、設置者から届出のあった風力発電設備の位置、高さ、形状などの情報を踏まえて、当該風力発電設備の設置により自衛隊の活動に著しい障害が生じるかについて、客観的な基準に基づき評価し、判断することとなります。
 また、在日米軍への影響についても防衛省において判断しますが、その際には米軍と連携しながら対応してまいります。
 以上でございます。
○高良鉄美君 このプロセスの中で、統合、今いろんな司令部をつくるということもありますけれども、やっぱり米軍が優先されるんじゃないかと、あるいは米軍の考えでこうしてくれというようなものが入ってくるんじゃないかとも思います。
 五月十五日、昨日ですけれども、これ沖縄が本土に復帰した日です。一昨年、参議院では沖縄本土復帰五十年決議すら行われませんでした。その理由が、日米地位協定の改定、この記述をめぐって与野党が合意できなかったからですが、日本政府や政治家が沖縄を見ないで米国の顔色を見ているのだと改めて実感させられました。
 沖縄への地位協定の適用は五月十五日からですが、この復帰をしたときの五・一五メモでは、米軍が沖縄県内で行う演習等を日米両政府が合意、非公開とされました。沖縄県民はそのことを一切知らされず、米軍のパラシュート降下訓練が突然始まったことに驚きと衝撃を受けたことは昨年の本委員会でも紹介しました。県民の命と暮らしに大きく関わる情報が一切公開されず、県民は日米両政府に対して大きな不信感を持ちました。
 さらに、日本が独立回復直後の一九五二年に日米両政府による指揮権密約が成立していたことを、在日米軍の影響を最も受けている県民の一人として衝撃を持って受け止めました。危険なオスプレイの飛行停止の要請も、辺野古新基地建設を中止する判断の権限も日本にはない。
 さらに、今回、自衛隊だけではなく米軍の使用する電波の伝搬障害を回避するために規制する法案であることに懸念をしていると申し上げ、そしてこの自衛隊基地と沖縄の今の基地は大きさ的に言うと沖縄本島の二割です。そこに百万以上住んでいます。生活とこの防衛の問題というのは非常に関わりが深いわけですけれども、そこに米軍の問題まで入ってきて、あるいはこういう規制が入ってくると、沖縄の経済は影響を受けます。今、電気代、非常に沖縄高い。そこも考えていただいて、この私の今の立場では、これはもう非常に懸念の多い法案だということで反対の立場を表明して、意見終わりたいと思います。
 ありがとうございました。