国会質疑 Interpellation

2024年3月21日 参議院 政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会

質問内容

・沖縄振興予算について

・難民認定申請者に対する保護について

議事録

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第213回国会 参議院 政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会 第3号 令和6年3月21日

○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美です。
 沖縄振興予算について伺いますが、その前に、もう先ほどずっと沖縄の基地問題、いろんな問題が出てきましたけれども、もう余りにも多過ぎて、今日は、この沖縄関係はこの振興予算についてお伺いしたいと思います。
 二〇二四年度の沖縄振興一括交付金は、沖縄の側の要求、千二百七十一億円の要求に対して七百六十三億円とされました。
 配付資料を御覧ください。国の直轄事業の予算が増額する一方、使途の自由度の高い一括交付金が九年連続減額されています。予算全体に占める一括交付金の割合も、二〇一三年、二〇一三年度の五三・七%から、二〇二四年度に二八・五%と、大幅に低下していっています。
 かつて担当大臣や官房長官などから沖縄振興予算と基地問題へのリンクが言及されたことがありますが、沖縄県の主体性を尊重する観点から、この振興計画の策定主体が国から県に変更され、使途の自由度の高い一括交付金が創設されたのですから、この大幅減額は主体性を尊重しないと受け取られかねないのではないかと思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(自見はなこ君) お答えいたします。
 令和六年度沖縄振興予算案におきます一括交付金につきましては、県や市町村が第六次沖縄振興計画開始後の令和四年度及び令和五年度と同水準の事業を引き続き実施できるようにするとの考えの下、令和五年度の当初予算と比べまして四億円の増額となります七百六十三億円を計上したところであります。
 具体的には、ソフト交付金につきましては、昨今の物価高、物価上昇などを踏まえつつ、より効果的、効率的な執行を促す観点なども勘案した結果、令和五年度当初予算比で四億円増の三百九十四億円を、また、ハード交付金については、国や市町村の声を、失礼いたしました、県や市町村の声を踏まえ、先般成立をいたしました令和五年度補正予算において三十九億円を計上した上で、令和五年度当初予算比で同額の三百六十八億円をそれぞれ計上したところでございます。
 なお、沖縄振興予算につきましては、国として考える必要額を積み上げて決定されるもので、現県政の基地問題に対する姿勢と直接関係していないと認識してございます。
 沖縄振興予算につきましては、今後も必要と考える額を確保してまいりたいと考えてございます。
○高良鉄美君 今、基地問題と直接関係ないということでしたけれども、しっかりこの視点で、沖縄のいろんなものが絡んでくるということを考えますと、先ほど言われた沖縄の南の玄関口としての振興をしっかりと今後もやっていただきたいと思います。
 次に、ODAの関連で、難民認定申請者保護事業、いわゆる保護費、これについて伺いたいと思います。
 難民申請を行うと、入管庁によって難民の認定、不認定というのが行われます。その審査に掛かる期間は、二〇二二年の場合には、審査請求を入れると平均約四十六・六か月掛かるんですね。これは三年十か月を超えるわけですけれども、この間、就労が認められる方もいれば、そうでない方もいます。また、来日直後からもう言語の壁がありますので、そういった中、安定した就労先を見付けるというのは容易ではありません。出身国で受けた迫害によって心身共に病んでいるというような状態の方や、あるいは幼い子供と一緒に逃れてきたと、いろんな事情があって働くことが困難な人もいます。
 そういった方たちの暮らしを支える仕組みとして、国は、難民認定申請者保護事業、保護費と呼ばれる制度を設けています。生活に困窮する難民申請者を対象に生活費や住居費を充てるお金を支給する事業です。この事業が外務省の所管、またODA事業の一環として行われていることは余り知られていません。
 二〇二四年度の保護費予算について伺います。二〇二四年度予算案における保護費関連予算の額をお知らせください。
○政府参考人(藤本健太郎君) お答え申し上げます。
 外務省は、国際的な道義的責任として、難民認定申請者のうち生活に困窮する者に対して、委託先を通じて生活費、住居費、医療費として保護費の支給を行っております。
 令和六年度当初予算案では、この保護費を含む難民認定者保護事業を主とする難民等救援業務として約四億七千四百万円を計上いたしております。この中で、内訳となるお尋ねの難民認定申請者への保護費の予算額については、令和六年度予算の成立後に委託先との間で交わされる具体的な契約に基づいて決定されるところ、現時点では確定しておりません。
○高良鉄美君 それでは、二〇二三年度の予算との比較ではどうでしょうかということで、この二三年度は難民認定、難民申請者の増加を受けて保護費関連の補正予算が取られたと理解しています。
 二三年度の当初予算と補正予算それぞれにおける保護費関連の予算の額を伺います。また、補正予算を受けて保護費の受給者数は増加傾向にあるというふうに考えてよいでしょうか。
○政府参考人(藤本健太郎君) お答え申し上げます。
 外務省が二〇二三年の事業の委託先であるアジア福祉教育財団難民事業本部、RHQに委託している難民認定申請者に対する保護費について、令和五年度予算額、すなわちRHQとの契約に基づく額は、当初予算分が約二億三千百万円、補正予算分が九千六百万円でございます。
 本年度においては、保護費受給者が増えたため、補正予算において難民認定申請者に対する保護費を含む難民認定申請保護業務に必要な経費を計上させていただき、成立したものでございます。
○高良鉄美君 二〇二三年度で当初予算と補正予算を合わせた額ということですけれども、こういったことが両方必要だということを考えますと、二〇二四年度の予算額で十分と言えるか、非常に疑問が残ります。
 この二四年度予算案の算出根拠を教えてください。
○政府参考人(藤本健太郎君) お答え申し上げます。
 難民認定申請者に対する保護については、国際的に各国にも道義的責任がある重要な業務であると認識しております。
 現在御審議いただいている令和六年度当初予算案においても、これらの者に対する適正な保護が実施できるよう、これまでの実績等を総合的に勘案して予算を計上させていただいたものでございます。
○高良鉄美君 私が今実績ということをお聞きして、そもそも二〇二二年度の保護費の受給者数というのは二百四人にとどまるわけです。一方で、この二〇二二年度末時点で一万二千人が難民認定手続中だったと。そのうちの二百四人なんですね。支援が必要な人に保護費が十分行き届いているかということが危惧されるわけです。
 二〇一〇年度、保護費の受給者というのは当時六百七十人を超えていたわけです。今の三倍以上ですね。ただ、当時の年間の難民申請者数は千二百人です。かつては難民申請者の約半数がもう受けられた制度が、今ではその申請者のうちごく僅かしか受けられていないということで、難民申請者数の増加に対して保護費の予算が全く追い付いていない状況と言えると思います。
 保護費支給額について伺います。先ほども少しありましたけれども、保護費の金額ですね。保護費は生活費、住居費、医療費の三つで構成されていますが、この医療費は実費を支給するとされています。生活費と住居費についてはいかがでしょうか。一人当たりの支給額をお知らせください。
○政府参考人(藤本健太郎君) お答え申し上げます。
 現在、令和五年度においては、難民認定申請者に支給される生活費は、十二歳以上の者一名につき日額千六百円、十二歳未満の者一名につき日額千二百円となってございます。難民認定申請者に支給される住居費につきましては、単身者には上限月額六万円、世帯につきましては人数に応じて上限八万円までを支給いたしております。
○高良鉄美君 健康で文化的な最低限度の生活というのが憲法にありますけれども、この生活保護よりも低い金額、それが設定されていると。
 生活費と住居費の金額について、二〇二四年度に変更は予定されていますでしょうか。
○政府参考人(藤本健太郎君) お答え申し上げます。
 難民認定申請者への保護費についてでございますが、ウクライナ避難民受入れの経験等を総合的に判断した上で、令和六年度から、予算案の御承認を前提といたしまして、生活費を十二歳以上の者一名につきこれまでの日額千六百円から二千四百円とする予定でございます。難民認定申請者に対する、支給される住居費につきましては、単身者にはこれまで上限六万円から四万円とし、世帯については人数に応じてこれまでの上限八万円から六万円までとする予定でございます。
○高良鉄美君 この生活費の方が増額になっていますけれども、この金額が変更される理由をお知らせください。
○政府参考人(藤本健太郎君) お答え申し上げます。
 令和六年度からの難民認定申請者に対する生活費については、ウクライナ避難民受入れの経験等を総合的に判断した上で増額することとしたものでございます。
○高良鉄美君 生活費は非常に重要なので、増額していくということはとても重要、重いことだと思います。
 住居費の方が減っていますけれども、やっぱり生活をする方には住まいというのが重要で、これは、人として住むところがないと、衣食住ありますけれども、この住の方を減額されているということは全体では余り増えている感じがしないということで、減額方針の見直しが必要じゃないかと思います。
 今後に向けて少しお話をしますと、日本の保護費予算というのがほかの先進国と比べて余りにも少ないことはもう非常にはっきりしていまして、OECD諸国のうち国内難民向けのODAの額を比較すると、日本は二十八か国中十九位にとどまるわけです。イギリスでは、二〇二二年度末時点で難民申請者数が約十七万人のところ、十万人が政府から金銭支援を受けている。アイルランドの場合には、二〇二二年度末時点、申請者が一万五千人と。これ、日本に近い規模です。一方、この支援を受けた方はというと、一万三千人です。ほぼかなり高い率で受けているということになります。
 二〇一六年に国連総会で受けた、難民のためのものですね、この宣言がありますけれども、危険な国から逃れたい、安全な国で暮らしたいというのは人として自然な行動だと。日本もそのような移動の行き先の一つとして、国内で困っている人に手を差し伸べるのは当然のことです。自国に逃れた難民の支援のためにもこの予算を十分に確保することも、G7が掲げる共通の価値観に基づく取組として日本での実現が急務だと思います。
 世界各国、紛争がいろいろありますけれども、この難民申請者の数が減るということは予想されなく、逆に増えると思います。必要な分を必要なだけ予算でやっていくということは、とても重要だと思います。そういう意味で、必要な予算上の措置が年度途中であってもとられるかということで、とられるということでよろしいでしょうか。
○政府参考人(藤本健太郎君) お答え申し上げます。
 外務省として、難民認定申請者に対する保護につきましては、国際的に各国にも道義的責任があるという重要な業務であると認識しており、今後も適正な保護が実施できるよう最大限の努力を続けてまいりたいと考えております。
○委員長(藤川政人君) 時間が参っております。
○高良鉄美君 はい、終わりたいと思います。
 大事なことが、やはり信頼ということがありましたので、国際的な信頼を得るためにも引き続きまたこういった質問をしたいと思います。
 ありがとうございました。