国会質疑 Interpellation

2024年3月12日 参議院 外交防衛委員会

質問内容

・オスプレイの飛行停止解除について

・外務大臣の外交姿勢について

・選択的夫婦別姓について

議事録

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第213回国会 参議院 外交防衛委員会 第3号 令和6年3月12日

○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美です。
 木原大臣の所信について内容を見てみますと、国民に不安をあおりにあおって、どんどん沖縄の基地化、あるいは基地拡大しようとしているのではないかと沖縄県民は危機感を持っていると思います。
   〔委員長退席、理事佐藤正久君着席〕
 沖縄県民が米軍基地だけではなくて自衛隊基地の建設にも警戒するのは、さきの大戦で日本軍の拠点としたところがことごとく攻撃、爆撃されたからにほかなりません。
 二度と戦争はしない、二度と政府の正義に振り回されない、これこそが私たち国民の決意です。この戦争放棄の決意は憲法九条に込められました。国際紛争は武力によって解決できない、武力によって解決しようとしてはならないと、こういうことが戦争の最大の教訓です。武力の支配を法の支配に変える、これこそが平和憲法の理念ですが、木原大臣は法の支配を武力の支配に変えようとしているのではないかと言わざるを得ません。我が国を取り巻く安全保障環境が戦後最も厳しく複雑なものとなっている、もうこれ何度も聞くわけですけれども、沖縄県に対して力による一方的な現状変更を強行しています。結果、沖縄を取り巻く安全保障環境は戦後最も厳しくなり、沖縄こそ戦後最大の試練のときを迎えていると言えます。
 具体例を挙げて質問したいと思います。
 昨年の十一月二十九日に墜落したオスプレイの飛行停止の解除について伺います。
 その翌日の外交防衛委員会で、私が、政府として米軍に対し厳重に抗議し、飛行の自粛要請ではなく、日本国内における飛行を即時禁止すべきではないかと、こう質問したのに対し、木原大臣は、今般のような米軍の事故の発生というのは、地域の皆様に大きな不安を与えるものであり、誠に遺憾であります、米側に対しては、国内に配備されたオスプレイについて、捜索救助活動を除き、飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うよう要請するとともに、事故の状況について早期の情報提供を求めていると、そう答弁されました。
   〔理事佐藤正久君退席、委員長着席〕
 木原大臣は、この三月九日、米側から事故の原因、安全対策で前例のないレベルで詳細な情報提供を受けた、地元の不安や懸念の払拭のため、再開前に丁寧に説明したいと述べていますが、防衛省独自の調査権限も能力もない、米側の判断を追認するしかない防衛省が何をどのように確認して丁寧に説明されるのでしょうか。丁寧に説明できれば危険なオスプレイが安全になるのでしょうか。木原大臣、国民が安心できる、納得できる説明をするべきではないでしょうか。
○国務大臣(木原稔君) 今回の事故が地域の方々に大きな不安を与えたものであったということは、改めてこれを重く受け止めたいと思います。
 また、そのオスプレイは陸上自衛隊も運用する機体でもありますから、防衛省・自衛隊としても、飛行の安全確保、これが最重要課題であり、運用再開するに当たっては十分な安全対策というのを講じなければいけないというふうに考えております。
 今回、この事故を受けた日米間の確認作業を毎週VTCによって行ってきたわけでありますけれども、結果として、航空機の機能を発揮させるために必要な構成品の中において、特定の部品の不具合が発生したことが事故の原因であるという、そのような認識に至りました。私自身もそういうふうに理解ができましたので、事故原因が特定されましたので、各種の安全対策を講じた上で、その特定部品の不具合による事故を予防、対処することができると考えています。
 こういったことを、しっかりとこれから地元自治体の皆様方に丁寧な説明をしてまいりたいと思っております。
○高良鉄美君 沖縄の方は、この飛行再開がちょっとうわさされるぐらい、普天間の方ではエンジン調整音が聞こえたんです。
 繰り返しますけれども、米軍が運用上必要と考えればいつでも飛行再開できるのは、この不平等な日米地位協定があるためです。日米地位協定がある限り、日本政府は米軍に対して無力です。木原大臣は日本の防衛大臣です。国民が繰り返し飛行中止を求めている欠陥機オスプレイの飛行さえ止められない。これで日本の国防を任せられるわけがありません。不平等な日米地位協定はやはり抜本的に改定すべきであるということを申し上げ、次の質問に入ります。
 今月六日ですけれども、沖縄県選出の野党議員でつくるうりずんの会が、うるま市の旧ゴルフ場跡地に計画されている陸上自衛隊の訓練場、この設置の断念を求めて要望書を木原大臣宛てに出しました。
 訓練場予定地の近くにある石川岳、この山は森林浴の森百選に選出され、休日には多くの家族連れが散策に訪れるなど県民の憩いの場所となっています。また、年間四万人の児童や生徒らが利用する沖縄県立石川青少年の家の宿泊棟の位置というのは、訓練場から僅か六十メートルしか離れていません。夜間偵察など諸訓練を行う環境にはありません。こうした懸念から、地元の区長会が反対を表明し、玉城デニー知事も木原大臣に計画取りやめを申し入れたほか、自民党沖縄県連も白紙撤回を訴えています。
 そして、沖縄県議会は今月七日、白紙撤回を求める意見書を欠席、退席なしの全議員による全会一致で可決しました。
 訓練場予定地近くには米海兵隊のキャンプ・ハンセン演習場があるため、日頃から米軍の射撃音が住宅地に鳴り響いています。米軍専用施設の七割が集中する沖縄で更に自衛隊基地、部隊の増強配備、これを進める政府に対して、今県民は不信を募らせています。
 木原大臣は、このような沖縄県民の声をどのように受け止められているでしょうか。
○国務大臣(木原稔君) まず、経緯から申し上げますと、その沖縄県うるま市の石川のゴルフ場の陸上自衛隊の訓練場の整備のことでございますけれども、省内において、この一五旅団を師団化するに当たって、訓練の所要、これを広げないといけないというところから様々な検討、調整を行った結果として、昨年十二月にまずは御地元であるうるま市や沖縄県に対して情報提供、そして説明をまず行ったところです。
 また、その後にうるま市の方から沖縄防衛局に対して説明会を行うように御要請をいただいたこと、こういったことを受けて、二月十一日に近隣住民の皆様を対象とした説明会を開催いたしました。これ、うるま市の要請を受けて開催したところでございます。
 防衛省としては、その際に、地元の皆様に対する丁寧な説明や適切な情報提供を行っていくことが重要であるという認識の下、これまでのその時点の考え方を説明し、そして地元調整のプロセスをお話をさせていただいたところであります。現在、住民生活との関係、これをやっぱり重視しなければいけませんので、取得後の土地の在り方について改めて検討を行っているところでありまして、結論が得られた段階で地元の皆様方に再度丁寧に説明していかなきゃいけないと思っています。
 おっしゃるように、意見書等厳しい御意見を、その後ですね、その後いただいているものと認識しておりまして、ここはしっかり受け止めてまいります。
 以上です。
○高良鉄美君 現場にもちろん立ち寄られたと思うんですけれども、説明会を最初やっぱり住民の側から要求しているわけですよね。それで、それから説明会があったということですけれども、本来でしたらそこはもう先にやらないといけないんだと思います。
 そして、私も現場に行ったんですけれども、もう最短距離のところは、子供たちが、この石川の青少年の家の宿泊施設、そして子供たちは散策をするんですけれども、その散策場所から一番近いところ五メートルですよ、上の方に。こういうところは、もう訓練場としては不適も不適ですよ、本当に。そこはやっぱり、しかも予約がもう一年間ずっと埋まっているわけです、中学生、小学生、高校まで。ですから、こういったところをよく考えていただいて、これはもうやっぱり、もう不適という以上に、こういう場所がもう駄目なんだということをしっかり検討していただいて、もうこれは断念にしないと問題だろうと思いますね、逆に。
 そして、これは、先ほどの県議会の自民党も入れた全会一致ですから。しかも、その上に、今、このうるま市というのは、この訓練場予定地のところには小学校が近くにあって、ここに落ちたわけですよ、ジェット機が、復帰前ですけどね。十七名子供が亡くなって、二百名以上がけがした。そういうような状況にあって、さらにそこにミサイルの配備が今、今度は昨日、おとといですね、分屯地の方に行くと。こんな状況であって、さらに石垣島に米軍のイージス艦が入ると。こんな状況の中の沖縄で、もうこれは飽和状態です。その辺もちょっと伝えておきたいと思います。
 続いて、上川大臣にお伺いしたいと思います。
 安倍元総理は拉致問題を最重要課題としてきましたが、戦後最長、最高のポストにいながら、一ミリも前に動かすことはできませんでした。安倍元総理は本会議で、北朝鮮の核、ミサイルの問題、そして拉致問題を解決すると述べ、北朝鮮にその政策を変更させなければならない、そのために、国際社会とともに北朝鮮への圧力を一層強化してまいります、さらに、ミサイル防衛体制を始めとする我が国防衛を強化に言及しました。対話と圧力と言いながら、圧力だけで対話の姿勢を見せなかったのですから、日朝間の信頼関係を築くことができなかったと言えます。
 岸田内閣の林大臣、そして上川大臣は、北朝鮮との間では、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指しますと述べられました。このことは対話の意思があるものと受け取れたと思います。
 一方で、防衛大臣の所信を聞くと、法の支配ではなく武力の支配にシフトし、日本の防衛政策や木原大臣の姿勢が外交のブレーキになりかねないのではないかと懸念しますが、上川大臣の見解を伺います。
○国務大臣(上川陽子君) 外務省といたしましては、この危機、これを未然に防ぎ、また平和で安定した国際環境、これを能動的に創出するために、外交と防衛、これを連携させながら、総合的に外交・安全保障政策を進めているところでございます。北朝鮮への対応に当たりましても、こうした考え方で臨んでいる状況でございます。
 その上で、我が国の一貫した方針でございますが、まさに委員御指摘のとおり、日朝平壌宣言に基づきまして、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決をし、不幸な過去を清算して、そして日朝国交正常化の実現を目指すというものでございます。
 防衛省を始めとする関係省庁とも緊密に連携しつつ、政府一丸となって対応してまいりたいと考えております。
○高良鉄美君 外交と防衛ということで、この委員会の質疑というのが非常に重要な意味を持っていると思います。
 次に、選択的夫婦別姓が実現できないために、三月八日、男女十二名が国際女性デーに第三次夫婦別姓訴訟を提起しました。この間、経済界からも法改正を望む声が高まっています。法制審議会から答申されたのは二十八年も前です。民法改正ができない最大の要因は我々政治家にあると思いますが、政府の努力も必要ではないでしょうか。
 国連女性差別撤廃委員会は、二〇〇三年の審査から法改正を行うよう日本に求め、二〇〇九年にはフォローアップの対象となりました。二〇一六年にも同様の勧告が行われました。今年十月には、この委員会による第九回審査が行われます。
 女性差別撤廃条約は内閣府も所管していますが、男女共同参画担当大臣、法務大臣を経験された上川大臣は、国際的にはもう日本の顔になるわけです。ジェンダー平等の遅れが日本の名誉ある地位を占めるどころか批判されるわけですから、理解が深まる努力をすべきだと思いますが、上川大臣の御認識を伺います。
○国務大臣(上川陽子君) 選択的夫婦別氏制度に関連しまして、委員から御指摘がございましたとおり、女子差別撤廃委員会から勧告がなされている状況でございます。
 女子差別撤廃条約を所管いたします外務大臣といたしまして、引き続き、国内の関係省庁とよく連携をしつつ、勧告の内容等につきましての国内理解の促進、これに努めるとともに、過去の審査におきましての女子差別撤廃委員会の勧告を十分に検討した上で、次回の審査にしっかりと対応してまいりたいと考えております。
○高良鉄美君 ありがとうございます。
 法制審の方ですね、これまで、この選択的夫婦別姓だけではなくて、ほかの、婚外子相続分規定の差別の撤廃、女性の再婚禁止期間の短縮、女性の婚姻最低年齢の引上げ、こういうものがありました。これらはいずれも、最高裁の違憲判断とか、あるいはほかの法改正に合わせて改正されました。しかし、最高裁からこの選択的夫婦別姓についてやっぱり違憲と、憲法違反だということを突き付けられるまで国会が不作為を続けるんではなくて、一日も早く立法解決すべきだと申し上げ、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。