国会質疑 Interpellation

2024年2月19日 参議院 行政監視委員会

質問内容

・参考人質疑

議事録

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第213回国会 参議院 行政監視委員会 第1号 令和6年2月19日

○高良鉄美君 今日は、御三名の参考人の方々、ありがとうございます。資料も大変役に立ちまして、また今のプレゼンも全て新鮮でございました。
 まず、横尾市長の方からお伺いしたいんですけれども、多久市の場合、佐賀と唐津の間ぐらいにいろいろあって、小都市とわざわざ書かれておりましたけれども、市民の方々に、今ちょうどこのシェアリングエコノミーの話とかそういうシティの宣言を、これ、やっぱり職員の方がどれぐらい理解して、もう市長のこのリーダーシップがすごいというのも今日聞いてもう分かりましたので、職員の方々にどのように伝えているのかなということ、そして、市民がどれぐらい市長の、このポリシーというんですかね、これを、いわゆる、先ほど啓蒙もありましたけれども、そういうような形でこのシェアリングエコノミーを市民が自らこう何か一緒に取り組もうというような感じになると非常にいいと思いますし、恐らくもうそういうようなところだと思いますけれども、どのような手だてでお知らせしたり周知をしたり研修をしたりというのは、何かありますでしょうか。
○参考人(横尾俊彦君) 立ち上げのときには、シェアエコということで実はセミナーを連続して開催しまして、シェアリングエコノミー協会、東京に本部がございます、永田町、あの、千代田区ですけれども。そこから、入れ替わり立ち替わり四回ほど来ていただいて、どのようなサービス、どのようなビジネスサポートがあるかを教えていただく機会を設けました。市民に限定しませんでしたので、県内からもお集まりいただいたり、例えば宿泊関係ですと、ホテルの方とか旅館の方とか、あるいはスモールビジネスやっている方とかもお見えになりましたし、赤ちゃんの子育てがそろそろ終わると、新しいことやりたいという人もお見えになったりして、そういった方に少し啓発もさせていただきました。
 質問の御趣旨にある市民にディープに伝わっているかというと、まあなかなかそこまではいっていないと思いますけれども、それぞれの市民の方、自分のビジネス、仕事もあるし、学校のお世話もあるし、子供の世話もあるということがあると思いますので、その人が必要なときにまずアクセスできる環境としてそういったちゃんと体制ありますよとしていきたいと思っています。
 で、このことを、多久市が取り組んでいることをきっかけにして始まったのが実は先ほどちょっと少し御紹介したドローンでございまして、ドローンのある福岡に拠点を置くインキュベーションビジネスの方が注目されて、コンタクトしてこられました。そこをきっかけに空の道をつくることを努力をしました。
 通常、ドローンは、空を飛ぶには地上権を持っている方の許可がなければある高さは飛べませんので、市内に五つの町がありますけれども、一つの町はほぼ全域、住民の方がオーケーをしてくださいましたので、自由に飛べます。そういった中で、救護品の輸送、食料の輸送、新聞の配達などなど、いろんなことを二十以上の空の道をつくって今実験もさせていただいているところです。
 そういったのを例えばニュースで見たり話題で聞いたりして少しずつ広がっていくだろうと思いますので、シェアリングについては本当にいろんな、こういうところがあったらいいよね、こういうことあったら便利よねということがビジネスのきっかけになっているようにも感じていますので、いろんな機会を捉えてお伝えをしていきたいと思います。
 また、東京でもシェアリングエコノミー協会は、大きなイベント、大会、シェアサミットみたいなのをされます。できる範囲、私も一部ですけれども参加をさせていただくと、やっぱり新しいサービスを考えた人たちが集っておられるなと。そういう関心が高いんだな、逆に言うと、そういうスモールサービスを待っている人がいらっしゃるなということを感じますので、行政の、例えば福祉でも、お母さんの代わりに保育を、一時間あるいは数時間預かってくださる保育の連携をするとか、そういったのを社会福祉協議会につないだり、あるいは私どもの保健師につないだり、そして市としてどんなサービスがお互いにできるかを考えたり、そういったことをしているところでございます。
○高良鉄美君 ありがとうございます。
 やっぱりシェアリングエコノミーというのが、観光地のお話もされましたけれども、やっぱり沖縄も随分そういう意味では参考になるんじゃないかなと。この広さが、要するに日本の半分ぐらいありますからね、那覇が大阪としたら、長崎が与那国なんですよ。で、伊豆半島が大東島なんですね。そうすると、やっぱりデジタルというのも非常に大きな意味があって、ICTも含めてですね。今日は本当にありがとうございました。
 次、勢一参考人に聞きますけれども、余りこういう質問をする人はいないのかもしれませんが、今日の参考文献の中で、「分権型計画行政の現在とミライ」という、片仮名で書かれているので、これは何か問題があって、あるいは相当思いがあってこのミライというのを別文字でしたのかなと思っているんですが、そこら辺はどういう考えがあったのかなということをちょっとお聞きしたいんですけど。
○参考人(勢一智子君) 御質問ありがとうございます。
 実は、これは掲載していただいた雑誌の特集の一編で加えていただいたもので、その特集のコンセプトの中がこの片仮名のミライでございまして、私の選択では直接的にはないところになっています。
 ただ、人口減少の時代の中で、どのような地域社会の将来像を描くのかというのはなかなか簡単には決まらないと思うんですね。また、それぞれの人々が持っている思いとか価値観とか求めているものも多様ですから、そういう意味では、少し距離を置く形でみんなで将来を考えようというようなコンセプトと理解すると、ちょっと普通の漢字の未来とは違ってもいいのかなというふうに感じたというところです。
 ありがとうございました。
○高良鉄美君 次は、ちょっとまた、これまた、この計画、行政体系のですね、この逆三角形というのがありましたけれども、行政計画の逆三角形というのは、やっぱり人の配置の問題も含めて、国の方にはたくさんの官僚がいて、これでいろいろできるということがあるんですけれども、やっぱり沖縄の場合も、もう離島に行くと担当者が一人いるかいないかで、例えば、この行政の計画だけじゃなくて、もうあらゆる分野ですね、例えば介護なんかも、介護のシステムを分かる人が一人しかいないという。そうすると、そこに介護の制度が入ってきて、何をどうした方がいいのかというのは全く分からない状況になって、一人で処理をするわけですね。だから、そういったものもあると、やっぱりこのICTを含めてデジタルでいろいろやっていくというのがとてもこの逆三角形の解消に向いているのかなと思うんですが、その辺はどうでしょうか。
○参考人(勢一智子君) 御指摘ありがとうございます。
 まさにおっしゃるとおりで、私も沖縄県の離島の自治体と少し関わったことがありまして、現地でいろいろお話を伺うと、本当に少人数の職員さんたちが基礎自治体として必要な仕事を全部やるという形になっています。
 おっしゃるように、離島というのはすごくそういう意味では象徴的な場所で、しかもその地理的に不利な状況、条件がたくさんあると。そういうところでこそDXを活用していくことが本当に意味があることだと思っていますし、一つの自治体、離島自治体があらゆることを一気にやるのは難しいので、それぞれいろいろな離島自治体が得意分野を少しずつやりながら知見をためて、それを共有していってDXを進めるというようなこともできるんだろうと思いますので、そういう点での今後の成果につながっていくといいなと思っております。
 以上です。
○高良鉄美君 ありがとうございます。
 まあちょっと話はあれでしょうけれども、弁護士の、何というんですかね、事件があると、やっぱり石垣島とかほかの島であると弁護士がいないんですよ。一人はいらっしゃるけど、原告側はいるけど被告側がいないということで、結局飛行機で来るんですね。
 だから、そういう問題も結局このDXで何かいろいろ解決できないかなと非常に今のお話の中で私思ったんですけれども、それなんかいかがでしょうかね。何かアドバイスがあれば、勢一さん。
○参考人(勢一智子君) ありがとうございます。
 私は実は長崎県立大学の研究プロジェクトで離島関係の議論をいろんな分野の方とお話ししておりまして、やっぱりそういう、何年かそういうことをやっているのですが、そうした経験で感じますのは、離島地域にどんな課題があるのかということを実はトータルで把握している人がそんなにいないんですね。それぞれの地域ではそういう課題があると分かっていても、じゃ、例えばそれを解消するためにどんな法律があったらいいのかというところを、十分にそこをつなぐだけのこれまで認識がなかったのではないかという問題意識は自分の反省を含めて感じるところです。
 そういう点では、今回DXということで、また御指摘いただいたように離島の課題ということで、それをつないでいただくことによっていろんな方々が知っていく。それで、企業などが知るとそれを支援するような動きも出てくると思いますし、こういう場所でそういう理解が進めば、じゃ、法制度の工夫のときに、こういうことができるのではないかというような議論をしていただけるのかなと思ったりしておりますので、非常に重要な御指摘だろうと思っております。
○高良鉄美君 次に、庄司参考人にお聞きしたいと思います。
 デジタル庁のお話がありましたけれども、パソコンを触ったことがないみたいなのがありましたけれども、デジタル庁について何が問題なのかなという。
 私が思うに、デジタル庁ってそのまま、デジタル庁が独立してあるというか、そういう名前があるというのは、ほかはデジタルを分かりませんよという言い方に聞こえるのかなと、そこは進んでいないからデジタル庁があるのかと逆に思ってしまって、だからそれは逆効果かなと。
 全ての省庁がデジタルに精通しているのが当たり前じゃないのかなと思うんですが、そこら辺を、率直にデジタル庁のことについて御意見あればよろしくお願いします。
○参考人(庄司昌彦君) 御質問ありがとうございます。
 デジタル庁とほかの役所の関係でいうと、確かに集約すると、ある種その人材もそっちに集まるというようなところがあるかもしれません。これ国と自治体の関係も同じで、国が主導していろいろシステムを統一していくというようなお話もありましたけれども、標準化して自治体の負担を軽くしてあげるということをやると、今度は現場の人たちは楽になるんですけれども、逆に言うと、人が育ちにくくなってしまう、仕組みまでよく分かっている人というのが出にくくなってしまうということは課題だろうというふうに思います。
 それから、ただ一方で、デジタル庁には司令塔機能というものが求められていたはずであります。それは意思決定ですから、やはりきちんと横串通して、ある種トップダウン的に、ちゃんと全体を見渡した全体最適の司令塔機能を発揮していただくという必要があるんだと思いますけれども、その力関係でデジタル庁がもっと司令塔機能を発揮できるんではないかと、まだまだそこをちょっと遠慮しているのかなというふうに思うところもあります。
 以上です。
○高良鉄美君 最後に、また庄司参考人の方にお聞きしたいと思います。
 この参加型民主主義というものがありますけれども、これはSNSとかいろんな形で意見をそれぞれ反映するということなんでしょうけれども、逆に、そういったSNSや中身を管理するとか、管理したり、あるいはフェイクが流れたり、あるいは、例えばある国の中央政府がそれを流したりとか、そういう意味で、参加型民主主義になるかどうかというのは非常に微妙なところもあるのかなということで、もし御指摘か何か、御意見あればお願いします。
○参考人(庄司昌彦君) 御指摘のとおりかと思います。
 インターネットの初期からインターネットにどっぷりつかってきた身としては、インターネットが明るい未来をもたらすと信じたいわけでありますけれども、各国の動向、日本の状況も含めて、まあ穏やかではないですね。分裂、分断が起こったりフェイクが蔓延したりということも起きていますので、その現実を受け止める必要があるとは思います。
 ただ、それで、では国がその言論の管理に乗り出すとか、あるいはそのプラットフォームですね、企業に強い権限でその整理を求めればいいかというと、それはそれで副作用がかなりあるだろうというふうに思いますので、しばらくは批判的精神を持って我々は言論に対して批判をし、チェックをし、透明性を求めるということを進めていくしかないのかなというふうに思っています。
○高良鉄美君 終わります。