国会質疑 Interpellation

2022年12月7日 参議院 政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会

質問内容

・沖縄の電力高騰について

・米軍基地周辺の環境問題について

・国際平和創造拠点APMCの沖縄への設置について

議事録

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第208回国会 参議院 政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会 第14号 令和4年12月7日

○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美でございます。

 年末が迫ってまいりますと、生活、家計というのは心配になりますが、沖縄の電力高騰について少しお伺いをしたいと思います。

 これ、県民にかなりの負担増があるということで、今日資料を配っていますけれども、一枚目に書いてあるのは、沖縄電力、来年四月に電気料金を四割値上げするということが報じられて、県民の方からは大きな不安の声というのが上がっています。  沖縄電力は、この石炭などの化石燃料高騰あるいは円安の進行を受けて今年度は四百八十五億円の赤字だということが見込まれており、家庭向けやあるいは事業者向けの規制料金を平均四三・八一%引き上げることを先月国に申請していることが分かりました。

 沖縄県は、翻りますと、県民の所得は、一人当たりの県民所得でいいますと全国の七五%の水準で全国最下位です。そして、子供の貧困も沖縄県がワーストと、こういうふうに言われるほど貧困問題が深刻な状況です。この沖縄県でライフラインである電力が四割上がるということは、ますますこの貧困に拍車を掛けるということになります。

 この沖縄県は、そもそもいろんな輸送費が掛かったり物価も結構高い、そしてガソリンなども本土よりもはるかに高くなっているということがあります。全国的にも物価や燃料の高騰などの対策は取られてはおりますけれども、沖縄のこの先ほども言っています特殊性に鑑み、更に対策が必要だと思いますけれども、政府の取組についてお伺いしたいと思います。

○政府参考人(水野敦君) お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、沖縄電力が来年四月一日からの規制料金の見直しを行うこととして、先月十一月二十八日に経済産業省への申請を行った旨は承知しております。  ロシアによるウクライナ侵略等を背景とした昨今の電力価格の高騰につきましては、政府として、令和四年度補正予算におきまして、全国的な取組として電気・ガス価格激変緩和対策事業に取り組むこととしてございます。一月以降開始できるように準備を進めているほか、既に地方創生臨時交付金の配分を通じて地域の実情に応じた取組を支援しているところでございます。

 ちなみに、その臨時交付金でございますけれども、沖縄県に約五十四・五億円、県内市町村に約四十一・七億円と、都合足し上げると九十六億円ちょっと超えるぐらいの交付金が配分されているというところでございます。

 値上げの認可申請につきましては、先月末に行われたと、先月二十八日に行われたということでございますが、これから審査が行われるものと承知してございます。まずは、経済産業省等とも必要に応じて情報共有を行っていきながら、状況をしっかり注視してまいりたいと考えてございます。  以上でございます。

○高良鉄美君 具体的な数字までいろいろ先ほど私は言ったわけですけれども、実はこれ平均で、沖縄がまあ本土からいいますと離島ということですけれども、沖縄の中にまた離島があって、その離島の中にもまた中心的な離島があって離島があるんです。こういう状況になると、燃料関係ですね、あるいは電気、これは今農業も電灯を使って、照明を使ってやったりしていますけれども、かなり農業にも影響大きくて、この辺りを本当に、島の痛みと書いてシマチャビと言いますけれども、これをしっかり理解していただいて、やっぱり電力の問題も非常に大きな負担が掛かるということで、是非とも取り組んでいただきたいと思います。

 次に、今日お配りしているのは三種類だけの資料なんですが、かなり分厚くなっておりまして、二枚目から五枚目までは、まあ米軍基地とは限りませんけれども、環境問題ということで少しお伺いをしたいと思います。

 米軍基地の周辺の環境というのが一番沖縄では問題が多いわけですけれども、特に有機フッ素化合物、PFAS、PFOSですね、これについてお伺いをしたいと思います。

 人体に有害な有機フッ素化合物、PFASですね、これが米軍基地周辺から高い値で検出されており、沖縄県民から不安の声が上がっております。沖縄県も、来年度に水質、土壌の全県調査する予定だと聞いております。

 先頃、これ、市民団体が中心になって基地周辺住民の血液検査をしたということで、かなりこれも違う値が出て、PFASの検出があったと、汚染のですね、ということが発表されましたけれども、この二枚目からの資料ですね、今年九月には、西村環境大臣とリーガン米国環境保護長官による日米環境政策対話が行われ、有機フッ素化合物、PFASの管理の重要性を確認し、規制や対策に関連する科学的知見を深める協力を継続していくということが確認されました。  そして、先週末には沖縄の方で、松野官房長官が来県されまして、宜野湾市長の案内で、環境省水・大気環境局長が、重要文化財である喜友名泉、これ、ガーというのは沖縄では湧き水のようなものです、チュンナーガー、それから浄水装置工事中のてぃーちがー公園、そして県の指定の森川公園内にある森の川を視察されたと聞いております。

 この米軍基地から発生した水や土壌の汚染というものは、国が責任を持って調査し、被害が発生しないように対策を取ることが当然のことだろうと思います。米軍基地の問題を県が調査する、これはもう当然、これもあるわけですけれども、しかし根本は、米軍基地の問題は国が調査するということが重要だと思います。

 安全性が確認されるまでは危険であるという予防原則にのっとって、より厳しい基準が求められると思います。環境省に専門家会議が設置されるやに聞いていますが、今後の取組について伺いたいと思います。

○政府参考人(針田哲君) お答えいたします。

 PFOS等につきましては、現時点では有害性についての知見が十分ではないため、目標値や基準について国際的にも様々な科学的な議論が行われているというふうに承知しております。

 一方、関係自治体や住民の方々からは、PFOS等に関する不安や、目標値や基準値の検討等の対策を求める声も上がっていることも承知しております。

 この状況の中で、環境省といたしましては、こうした声を受けて、年明け以降に専門家会議を設置し、PFOS等における水環境の目標値等の検討、またPFOS等の全体戦略の検討を開始し、専門家の御意見を聞きながら、国民の安全、安心のための取組を全力で進めたいというふうに考えております。

○高良鉄美君 やっぱり専門家会議を発足させながら検討していくということでございますので、是非ともこのPFAS問題、今これかなり日本中で問題になっておりますので、是非ともどんどんこの知見をためながら対応していただきたいと思いますし、それから、このPFASについては映画もありまして、ダーク・ウォーターという、汚染された水ということで、これがある町全体を覆っていくというのが、これ実話ですので、こういった面も含めて相当きついんだと、厳しいんだということで、アメリカではこの基準値を相当、もう何十倍というふうに厳しくしたというふうに私は聞いております。その辺も一応お耳に入れておきたいと思います。

 次に、本土復帰五十年と沖縄はよく言われますけれども、この六枚目から残りの十三枚目までは、十四枚ぐらいありますかね、この復帰五十年に係りまして、岸田総理が本土復帰五十年の式典で式辞で言われたこと、これが平和創造の拠点としての沖縄の発展ということを言われていますので、これについてお伺いをしたいと思います。

 元沖縄県の政策調整監、これは大田昌秀知事時代の政策調整監ですけれども、高山朝光氏が、あるいは国内外の研究者二十人が、沖縄を平和創造の拠点とするための国際的な機関、アジア太平洋多文化協働センター、APMCの設立を構想しています。

 先月十一月十三日には、沖縄復帰五十周年記念フォーラム、国際平和創造拠点APMCの沖縄設置に向けてというシンポジウムを開催しました。これは岸田総理が平和創造の拠点としての沖縄の発展と言及されたことに呼応するもので、この構想というのは岸田総理が述べられたことに資するものだと思っています。

 私もこれに参加をいたしました。そして、パネリストを含めてそうそうたるメンバーで、法政大学の元学長の田中優子さんとか、あるいは小和田元国際司法裁判所の裁判官、さらに元沖縄のNHKの局長でありました川平朝清さんと、その他いろいろな方々が出ておられて、非常にいい御意見を発表されておりました。

 この構想というのは、実は復帰直後ぐらいから出てきていた構想なんです。つまり、復帰五十年ということですけれども、もう四十数年ですね、一九七五年ぐらいから出てきた、沖縄にこの平和創造の拠点をつくろうということで、西銘県政のときにも一生懸命されておりました。

 高山氏らは、今年三月の二十四日、木原誠二官房副長官らと面会をしてこの構想について説明されたところ、木原副長官も前向きな意思を表明されたと伺っております。

 時宜を得た示唆に富む構想だと思います。この考え方を取り入れていくことは政府の考えにも従うものだと、沿うものだと思いますけれども、林外務大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(林芳正君) 今委員から御指摘のあったこの構想については、私も承知をしておるところでございます。

 沖縄における国際的な人材育成や人材交流、これは沖縄復帰五十周年記念式典における岸田総理の式辞でも、島嶼地域に共通する課題の解決に貢献できる国際的な人材の育成や人材交流等を推進して、平和創造の拠点としての沖縄の発展、国際的なネットワークの形成を目指す旨を述べられております。

 外務省としても、沖縄振興特別措置法を踏まえまして、JICAや国際交流基金によるものも含めて、沖縄の特性を踏まえた国際協力と国際交流に取り組んでいるところでございます。

 この構想は、沖縄振興、それから研究、教育、多数の省庁が関係する事業というふうに拝読をしておりまして、外務省のみでお答えするということは難しいところがございますが、我々としても、引き続きまして、関係省庁と連携して沖縄における国際的な人材育成、人材交流、取り組んでまいりたいと思っております。

○高良鉄美君 是非とも、岸田総理の肝煎りで出てきたその言葉で、やっぱり平和創造の拠点ということは実は沖縄の歴史にも非常に関わっておりまして、この特別委員会も、沖縄の歴史と、それから今後の、外交を含めて、東アジアの中での日本の位置付け、そして日本のこれからということを考えますと、やっぱりそれに資するためにまた沖縄の発展もあるんじゃないかなと、そこにこそまた力を入れていくことによって、日本の東アジアでの地位というものもそれこそ国益にかなうものになっていくんじゃないかなと私も期待しております。

 しっかりと取り組んでいただきたいということを御要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。