政府開発援助等と沖縄・北方問題との統合に抗議する声明
参議院会派「沖縄の風」は、本日、参議院で「政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会」 が 設置 されたことに、強く抗議する。
昨年の通常国会において、「沖縄及び北方問題に関する特別委員会」と「政府開発援助等に関する特別委員会」が統合された際に、「沖縄の風 」は、強く反対した。
「沖縄及び北方問題に関する特別委員会」は、1967年2月17日の特別国会で「沖縄問題に関する特別委員会」が設置されて以降、数々の名称変更を経て、沖縄及び北方問題に対しての対策樹立に関する調査を目的に、沖縄振興予算や沖縄振興税制改正などを議題として活動をしてきた 。昨年の統合は、沖縄振興特別措置法改正案や、いわゆる跡地利用促進法改正案の審議を控えた中で行われた。
沖縄県は国土面積の約0.6%に過ぎないが、在日米軍専用施設・区域の約7割が集中している。また、 近年は「南西シフト」のもと 自衛隊駐屯地の新設と部隊配備が進められるなど、県民は過重な基地負担を強いられてきた 。基地が沖縄経済発展の最大の阻害要因との考えが政治的立場を超えた共通認識となっている。一人当たりの県民所得は、全国最低であり、県内の子どもの相対的貧困率も全国平均の約2倍を超えている。政府の沖縄振興策も道半ばと言わざるを得ない。
昨年のロシア による ウクライナへの軍事進攻を機に、政府は 、防衛力強化に舵を切り、沖縄はますます危険に晒されることにな った。
新たな安保三文書の策定に伴い、政府は防衛力の抜本的強化を行うこととし 、防衛費も大幅に増額された。沖縄県民が長年苦しんできた要因の一つである日米地位協定は、安保三文書策定においても 、 政府は米国に地位協定改定の提起すらしなかった。昨年、沖縄は日本に復帰して50年の節目の年であったが、日米地位協定の見直しをめぐり合意ができず、本会議決議さえ行われなかった。沖縄が 、日米両政府から軽視されてきたといっても過言ではない。
政府開発援助を始めとする国際援助・協力に関する諸問題を調査する必要性は理解するが、沖縄は海外被援助国ではなく、沖縄振興は海外援助でもない。同一の委員会で議論する関連性も なく 、委員会の意義を高めるものでないことは明らかである。
「沖縄の風」は、改めて特別委員会の統合に抗議するとともに、今後とも、沖縄の声を国政に活かし、沖縄問 題の解決に向けて全力で取り組む決意である。
2023年10月20日
参議院会派「沖縄の風」 代表 伊波洋一
幹事長 髙良鉄美