平和の一議席を引き継ぎ、
ウチナーンチュの誇りと尊厳を守る
昨年は復帰50年の節目の年であり、選挙の年でもありました。
昨夏の参議院選挙では、オール沖縄が推す伊波洋一議員が、辺野古新基地建設に初めて賛成を掲げた自民党候補に勝利し、再選を果たしました。私の任期の折り返しとなる3年間も、伊波議員と参議院会派「沖縄の風」として活動できることとなり、あらためて、「すべては沖縄のために!」頑張る所存です。
続く9月の沖縄県知事選挙でも、辺野古新基地建設反対を訴えた玉城デニー知事が圧勝しました。県民の基地反対の意思を再度示すことができた一方、市町村の首長選挙や議員選挙では、住民のニーズに応えきれなかった課題もわかり、今後の取り組みへの示唆だと受け止めています。
当選後の3年間は法務委員会に所属し、「法の支配」を基軸に質問をしてきましたが、外交防衛委員会でも「法の支配」の重要性を訴える質問を行っています。沖縄県では、「法の支配」の重要な要素である憲法の最高法規性が蔑ろにされ、憲法より日米安保と地位協定が上位に扱われていると指摘したうえで、適正手続きを踏まずに強行されている新基地建設が、「銃剣とブルドーザー」から「補助金とブルドーザー」に形を変えた「人の支配」である、と訴えました。
50年前の復帰までは、沖縄には琉球政府があり、米国統治下ではありましたが、行政、立法、司法の三権分立の形をとっていました。地方自治を担う今の県議会とは違いますが、琉球政府立法院は立法権を担う、まさに国会のような位置づけだったとも言えます。
米国統治下にキャラウェイ高等弁務官が「沖縄の自治は神話である」と演説したことが物議をかもしましたが、復帰後も沖縄の自治権は尊重されているとは言えません。
復帰から半世紀を超えたその後をどうするのか、基地か経済かの二者択一に有権者の苦悩が見て取れます。基地問題を解決し、経済も発展させていく、そのための自治、自己決定権の確立、充実が重要課題になると思います。
昨年末、政府は国家安全保障戦略など防衛3文書を閣議決定しました。敵基地攻撃(反撃)能力保有など、従来の防衛政策が大きく変わります。また、米国の戦略や米軍の作戦構想の変化が在日米軍の再編、特に沖縄の海兵隊の人員などに影響を与えることが予想され、これまで以上に県民に負担があるのではないかと危惧します。日本が大国間競争や、紛争に巻き込まれないためにも、外交努力、とりわけアジアの国々との対話や連携は重要です。
復帰50周年の式辞で岸田総理が、「平和創造の拠点としての沖縄の発展」と言及し、これに呼応するように民間の研究者らも、沖縄を平和構築の拠点とするための国際的な機関の設立を構想しました。私も、沖縄が平和創造・平和構築の拠点の年となるよう尽力してまいります。
今年もご指導、ご鞭撻、ご支援を賜りますようよろしくお願いいたします。
2023年1月吉日
タカラ鉄美プロフィール
参議院議員 (会派 沖縄の風) 所属委員会:外交防衛委員会、政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会 沖縄社会大衆党(社大党)委員長 / 琉球大学 名誉教授 / 沖縄県憲法普及協議会 会長 / オール沖縄会議顧問- 1954年1月 那覇市生まれ
- 松川小、真和志中、那覇高卒
- 九州大学法学部、同大学院法学研究科修士課程、博士課程
- バージニア大ロースクール客員研究員(’89~’91)
- 琉球大学法文学部教授(’04~’19)
- 琉球大学法科大学院教授(’04~’19)
- 琉球大学法科大学院院長(’07~’11)
- 参議院議員(’19~)社大党委員長(’20〜)
- 好きな食物:
- ヒージャー料理、泡盛
- 学会・社会活動等:
- 東アジア共同体・琉球(沖縄)研究会共同代表、九条の会全国世話人
- 著書:
- 『沖縄から見た平和憲法』 未来社 『僕が帽子をかぶった理由-みんなの日本国憲法』 クリエイティブ21 など