あなたの1票、本当に「1票」?

サトミちゃん、ニュースで『一票の格差』って聞くんだけど、これって何?
私の1票が他の人より軽かったりするの?

ええ、くるパパの1票の「重さ」は、住んでいる場所によって変わってしまうんです。
それが『一票の格差』という問題なんですよ。
選挙のニュースを見ていると、「一票の格差が2倍を超えた」「最高裁が違憲状態と判決」という言葉をよく聞きますよね。
でも、正直なところ、「一票の格差って何?」「自分の投票にどう関係するの?」と思っている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんな素朴な疑問を、図解を使って分かりやすく解決します。
選挙のたびに話題になる「一票の格差」の正体を、3分で理解できるようにまとめました。
一票の格差とは「1票の重さ」が違うこと!

まずは、結論からお伝えします。
「一票の格差」とは、住んでいる場所によって「議員1人を選ぶのに必要な有権者の数」が違うため、1票の価値(重み)に差が生まれてしまう問題のことです。
難しく聞こえるかもしれませんが、身近な例で考えてみましょう。
学校の例で考えると…
想像してください。
あなたの学校に、2つのクラスがあります。
- Aクラス:生徒が50人。学級委員長を1人選ぶ
- Bクラス:生徒が100人。学級委員長を1人選ぶ
どちらのクラスでも、学級委員長は「1人」です。でも、Aクラスでは50人が1人の委員長を選ぶのに対し、Bクラスでは100人が1人の委員長を選びます。
つまり、Aクラスの1票は、Bクラスの1票の2倍の価値があるということになります。これが「一票の格差」なんです。

つまり、あなたが住んでいる選挙区の有権者数によって、あなたの1票の「重さ」が変わってしまうということなんです。これが問題なんですよ。
なぜ問題なの?憲法で「平等」が約束されているから
では、なぜ「一票の格差」は問題なのでしょうか?
その理由は、日本国憲法で「投票価値の平等」が保障されているからです。
日本国憲法第14条では「すべて国民は、法の下に平等である」と定められています。
つまり、すべての国民の投票価値が平等であるべきだということを意味しています。
ところが、現実には、住んでいる場所によって1票の価値が異なってしまっているのです。
これは、民主主義の根幹に関わる問題です。なぜなら、民主主義は「1人1票」という平等な投票権の上に成り立っているからです。
その平等性が損なわれているというのは、とても大きな問題なんです。

だから最高裁判所も「これは問題だ!」と怒っているんです。
【図解】格差はどうやって計算するの?鳥取vs北海道で比較!
では、実際に「一票の格差」がどのくらいあるのか、2026年の衆議院選挙の最新データで見てみましょう。
2026年衆議院選挙の一票の格差
- 最も有権者が少ない選挙区:鳥取1区(22万820人)
- 最も有権者が多い選挙区:北海道3区(46万2999人)
- 格差:2.10倍
つまり、鳥取1区の有権者の1票は、北海道3区の有権者の1票の2.10倍の価値があるということです。
計算式はこうです:
一票の格差 = 有権者数が多い選挙区 ÷ 有権者数が少ない選挙区
= 46万2999人 ÷ 22万820人
= 2.10倍


え、2倍以上も違うのか?
それって、すごく不公平だね。

そうなんです。
だから、最高裁判所も「これは問題だ」と指摘しているんですよ。
最高裁も怒ってる?「違憲状態」判決とは
ここで登場するのが、最高裁判所の判決です。
最高裁判所は、衆議院選挙のたびに「一票の格差」が憲法に違反していないかを判断しています。その判断は、大きく3つに分かれます。
最高裁の判断基準
| 判断 | 意味 | 格差の目安 |
|---|---|---|
| 合憲 | 問題なし。この選挙は有効 | 2倍以下 |
| 違憲状態 | グレーゾーン。問題があるが、選挙は有効 | 2倍~2.1倍 |
| 違憲 | 問題あり。この選挙は無効 | 3倍超 |

過去の衆議院選挙での判決
| 選挙年 | 最大格差 | 最高裁判決 |
|---|---|---|
| 2024年衆院選 | 2.06倍 | 合憲 |
| 2021年衆院選 | 2.08倍 | 合憲 |
| 2017年衆院選 | 1.98倍 | 合憲 |
| 2014年衆院選 | 2.13倍 | 違憲状態 |
| 2012年衆院選 | 2.43倍 | 違憲状態 |
| 2009年衆院選 | 2.30倍 | 違憲状態 |

へえ、2009年から2014年は「違憲状態」だったんだね。
でも、選挙は有効なのかい?

そうなんです。「違憲状態」というのは、「問題があるけど、選挙は有効」という判断なんです。
つまり、当選者は当選のままということですね。
どうすれば解決できるの?選挙区の「席替え」
では、「一票の格差」はどうすれば解決できるのでしょうか?
答えは、選挙区の区割りを見直すことです。
人口は時間とともに変わります。都市部に人口が集中し、地方の人口が減少する傾向が続いています。
そのため、選挙区の区割りを定期的に見直す必要があるのです。
日本で行われた対策
- 2016年:「0増10減」:10の選挙区を統合し、全国の選挙区を289から279に削減。都市部の議席を増やし、地方の議席を減らす調整を実施
- 2022年:「アダムズ方式」の導入:より公平な配分方法として、新しい計算方法を導入。人口比に基づいて、都道府県ごとの議席数を自動的に調整

国会は「一票の格差」を減らすために、選挙区の「席替え」をしているんです。
海外の事例
実は、海外の国々の中には、「一票の格差」をもっと厳しく管理している国もあります。
- オーストラリア:将来の有権者数を予測した上で区割りを実施
- シンガポール:各選挙区の1議席につき、人口の差が30%以内に設定
- 韓国:1議席当たりの人口が全国平均から50%の差が生じる場合は違憲と判決
日本も、こうした国々の例を参考にしながら、「一票の格差」の解消に向けて取り組んでいるんです。
まとめ:私たちにできることは?

「一票の格差」というのは、住んでいる場所によって1票の価値が変わってしまう問題なんだ。
最高裁判所も「これは問題だ」と言っている。

だから、国会も「一票の格差」を減らすために、選挙区の見直しを行っているんです。

でも、完全に無くすことはできないんじゃないか?

そうなんです。
人口は常に変わっていますし、地理的な制約もあります。
だから、完全になくすことは難しいんです。
だからこそ、定期的に見直す必要があるんです。

私たちにできることは何だい?

まず自分の選挙区の状況を知ることです。
自分の選挙区の有権者数は何人か、全国平均と比べてどうか、そして候補者がこの問題についてどう考えているのか。
こうしたことに関心を持つことが大切なんです。

そっか。
こういった背景を知った上で投票することが大事なんだね。

はい!
「一票の格差」という問題を理解することで、選挙がもっと面白く見えてくると思います。
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