「増税の野田」が「減税の野田」に?その理由を知りたい方へ
2026年1月25日、与野党7党の党首がテレビ討論番組に出演し、食料品の消費税をめぐって激しく議論しました。(*1)
その中で、特に注目を集めたのが、中道改革連合の共同代表・野田佳彦氏の発言です。

野田氏は「食料品の消費税を、今秋から恒久的にゼロにする」と、具体的な時期を明言しました。(*2)
しかし、ここで大きな疑問が生まれます。
「ちょっと待てよ…野田さんって、2012年に消費税を5%から8%に引き上げた人じゃないの?」
そう、野田佳彦は、民主党の総理大臣として、自民党・公明党と「三党合意」を結び、消費税増税を決定した張本人なのです。(*3)
それが、14年後の今、「食料品の消費税をゼロに」と掲げている…。
この大転換は、単なる政治的な「ポーズ」なのか?
それとも、深い信念に基づいた転換なのか?
今回は、「増税の野田」から「減税の野田」への大転換の理由を、徹底的に解説します。
読み終わった時、野田佳彦という政治家の本当の狙いが見えてくるはずです。
「増税の野田」はどのようにして誕生したのか?
2012年、野田政権が消費税増税を決めた背景
時間を遡ること、2012年。
当時、日本は人口減少と高齢化という、深刻な社会問題に直面していました。(*1)
野田佳彦は、その前年の2011年9月に、民主党の総理大臣に就任したばかりでした。

野田さんが総理になった時点で、日本の政治状況ってどんな感じだったんだい?

当時、日本は東日本大震災からの復興真っ最中で、経済も混乱していました。
その中で、野田さんは「社会保障と税の一体改革」を掲げたんです。
つまり、高齢化による社会保障費の増加に対応するために、消費税を上げる必要があるという判断ですね。

なるほど。
つまり、野田さんは「日本の将来のために、今は痛みを伴う決断が必要だ」と考えたんだね。

はい!
そして、この判断を実現するために、野田さんは自民党の安倍晋三総裁と党首討論を行い、公明党を交えて「三党合意」を結びました。
(*3) これは、野田さんが「政治家として、政党の利益よりも国家の利益を優先させた」ことを示しています。
野田が「給付付き税額控除」にこだわった理由
ここで、重要なポイントがあります。
野田佳彦は、単に「消費税を上げればいい」と考えていたわけではありませんでした。
野田が主張していたのは「給付付き税額控除」という制度です。(*4)
これは、どういう制度なのか?

「給付付き税額控除」って、何?

簡単に言うと、こういう制度です。
消費税が上がると、低所得者の人たちの負担が大きくなりますよね。
そこで、「税金の控除」と「現金の給付」を組み合わせて、低所得者の負担を軽くしよう、という考え方なんです。

あ、つまり、「消費税は上げるけど、困っている人には現金を返す」ということだね!

はい!!
野田さんは「増税による負担を、すべての国民が公平に負うべき」という考え方を持っていたんです。
これは、松下政経塾で学んだ「生活者ファースト」の思想が、ここに表れていると思います。

「軽減税率」への転換:野田の想いが実現されなかった瞬間
しかし、ここで大きな転機が訪れます。
2012年12月、野田政権は衆議院を解散し、総選挙を行いました。(*1)
その結果、自民党が圧倒的多数派で政権に返り咲きました。
そして、その後の自民党政権では、野田が主張していた「給付付き税額控除」ではなく、「軽減税率」が採用されることになったのです。(*4)

「軽減税率」だね。
食料品は8%、その他は10%みたいな…

そうです。
野田さんが想定していた「給付付き税額控除」は、より公平で、低所得者にも優しい制度だったんです。
でも、自民党政権は「軽減税率」を選んだ。その結果、何が起きたか…

何が起きたんだい?

インボイス制度が誕生してしまったんです。(*4)
軽減税率が導入されると、税率の種類が複数になります。
そうすると、税務申告が複雑になるので、「インボイス制度」という新しい経理方式が必要になってしまったわけです。

あ…それって、小規模事業者とか、フリーランスの人たちが大変になったやつだね。

はい!
野田さんが避けたかった「小規模事業者泣かせ」の制度が、結果的に誕生してしまったんです。

2023年、野田が語った「後悔」
時は流れて、2023年9月。
インボイス制度の開始直前に、朝日新聞が野田佳彦にインタビューを行いました。(*5)
そこで、野田は、こう語ったのです。
「11年前に首相として深く制度設計をやって、給付付き税額控除に決め切れていたらよかったのですが。もうちょっと頑張っておけば、という後悔の念があります。」(*5)
この一言に、野田佳彦の本心が表れています。

野田さんは、本当に後悔しているんだね…

そうなんです。
でも、ここで重要なのは、野田さんが「消費税増税そのものが間違っていた」と言っているわけではないということです。
彼は、こうも述べています。
「いまも間違っていないと信じています」(*5)
つまり、野田佳彦は「消費税増税という決断は正しかった。
ただし、その後の制度設計(給付付き税額控除ではなく軽減税率を選んだこと)は、間違っていた」と考えているわけです。
これは、野田という政治家の誠実さを示しています。
自分の決断を正当化するのではなく、その後の展開で何が間違っていたのかを、冷静に分析しているのです。
2026年、「減税の野田」の誕生
そして、現在。
2026年1月22日、野田佳彦は、公明党の斉藤鉄夫とともに、新しい政党「中道改革連合」を立ち上げました。(*2)
その最大の公約が、「食料品の消費税をゼロにする」というものです。(*2)

でも、ちょっと待てよ。
「増税の野田」が「減税の野田」になるって…
政治的な転換じゃないか?

そうですね!
確かに、一見すると「政治的な転換」に見えます。
でも、私は違うと思うんです。

どういうことだい?

野田さんの本当の狙いは、一貫しているんです。
「生活者ファースト」という理念です。
2012年に消費税を上げた時も、野田さんは「低所得者の負担を軽くするために、給付付き税額控除を導入しよう」と考えていました。
そして、2026年に「食料品の消費税をゼロ」と掲げている時も、野田さんの狙いは同じです。
「生活が苦しい人たちを助けたい」という想いなんです。

確かに!
野田さんの本質は変わっていないね。

はい!
ただし、方法論は変わったんです。
2012年には「給付付き税額控除」という複雑な制度を考えていたけど、2026年には「食料品の消費税をゼロ」という、シンプルで分かりやすい政策に変わった。
これは、14年間の政治経験の中で、野田さんが学んだことなんだと思います。

野田佳彦が「今秋から恒久的にゼロ」にこだわる理由
ここで、もう一つ重要なポイントがあります。
野田佳彦は、単に「食料品の消費税をゼロにする」と言っているのではなく、「今秋から恒久的にゼロにする」と、時期と期間を明確に示しています。(*2)
これは、高市早苗首相の「2026年度中に実現」という方針とは異なります。(*1)

「今秋から恒久的」と「2026年度中」って、何が違うんだい?

大きな違いがあります。
高市首相は「2026年度中」と言っているので、実現は2027年4月以降になる可能性があります。
つまり、1年以上先延ばしになる可能性があるということです。
一方、野田さんは「今秋(2026年秋)から恒久的」と言っています。
つまり、今年の秋には必ず実現させるという強い意志を示しているんです。

なるほど!
野田さんは「今すぐやる」ということですね。

そうです!
これは、野田さんが「生活者ファースト」という理念に、本気で取り組んでいることを示しています。
物価が高騰している今、一日でも早く、食料品の消費税をゼロにしたいという想いが、この「今秋から」という言葉に表れているんです。
財源はどうするのか?
ここで、もう一つの疑問が生まれます。
「食料品の消費税をゼロにしたら、税収が減るじゃないか。その財源はどうするんだ?」
これは、多くの国民が持つ疑問です。
野田佳彦は、この質問に対して、具体的な答えを用意しています。(*2)
当初2年間は、「つなぎ財源」で対応するという方針です。(*2)
具体的には、以下のような方法が考えられています。
- 政府基金の取り崩し
- 外国為替特別会計の活用
- その他の財源確保

つなぎ財源?
それって、一時的な対応だよね。

そうですね。
つまり、野田さんは「最初の2年間は、既存の財源から充てる。
その間に、新しい財源を確保する仕組みを作る」という戦略を立てているわけです。

なるほど。
つまり、長期的には、新しい税源や経済成長による税収増で、食料品消費税ゼロを支えるということですね。

はい!
野田さんは、単に「消費税をゼロにします」と言っているのではなく、その後の財源確保まで考えているんです。
これは、財務大臣を経験した野田さんならではの、現実的な政策立案だと思います。

「増税の野田」から「減税の野田」への転換は、本当に矛盾しているのか?
ここまで読んでいただいて、皆さんはどう思いますか?
野田佳彦の「増税」から「減税」への転換は、本当に矛盾しているのか?
私は、そうは思いません。
むしろ、野田佳彦という政治家の一貫した理念が、時代とともに、形を変えて表れているのだと考えます。
その理念とは、「生活者ファースト」です。
2012年には、「給付付き税額控除」という複雑な制度を通じて、低所得者を守ろうとした。
2026年には、「食料品消費税ゼロ」というシンプルな政策を通じて、生活が苦しい人たちを助けようとしている。
方法論は変わったかもしれないが、本質は変わっていない。
これが、野田佳彦という政治家の本当の姿なのだと思います。
世間の評判:「戦犯」から「次のリーダー」へ
ところで、世間では、野田佳彦をどう見ているのか?
2012年の消費税増税の決定後、野田は「戦犯」と呼ばれることもありました。(*6)
民主党が政権を失った後、野田は「民主党政権の失敗の象徴」として、批判を受けることもありました。
しかし、2024年9月に立憲民主党の代表に選出され、2026年1月に中道改革連合の共同代表となった現在、野田に対する評価は変わり始めています。
「戦犯」から「次のリーダー」へ。
この転換は、何を意味しているのか?

野田さんの評価が変わったのは、なぜなんだろう?

いくつかの理由があると思います。
まず第一に、時間の経過です。
2012年の消費税増税から14年が経ちました。
その間に、日本の経済状況も、国民の生活も大きく変わりました。
当時は「増税は必要だ」と思っていた人も、今は「消費税は高すぎる」と感じているかもしれません。
第二に、野田の誠実さです。
2023年のインタビューで、野田は「後悔の念がある」と述べました。
これは、多くの国民の心に響いたと思います。
自分の決断を正当化するのではなく、その後の展開で何が間違っていたのかを、冷静に分析する姿勢。
これが、国民の信頼を勝ち取ったのだと思います。
第三に、野田の一貫した理念です。
「生活者ファースト」という理念は、時代を超えて、多くの国民に共感されます。
野田が、この理念に基づいて、「食料品消費税ゼロ」という政策を掲げたことで、国民は「この人は本気だ」と感じたのだと思います。

なるほど!
つまり、野田さんは「政治家として成長した」ということだね。

はい!
野田佳彦は、38年間、毎朝駅前に立ち続けた政治家です。(*7)
その長い政治人生の中で、彼は学び、成長し、そして、今、新しい政党を立ち上げて、「生活者ファースト」の政治を実践しようとしているんです。
まとめ:野田佳彦という政治家の本当の姿
野田佳彦は、「増税の野田」から「減税の野田」に転換した政治家ではなく、「生活者ファースト」という理念に一貫して取り組み続けた政治家なのです。
2012年に消費税を上げたのも、2026年に食料品消費税ゼロを掲げるのも、すべては「生活が苦しい人たちを助けたい」という想いから出発しています。
その想いは、松下政経塾での学び、千葉県議での経験、国会議員としての活動、財務大臣・総理大臣としての経験を通じて、磨かれ、深まってきたのです。
そして、今、野田佳彦は、新しい政党「中道改革連合」の共同代表として、「生活者ファースト」の政治を、より具体的で、より分かりやすい形で実践しようとしています。
「増税の野田」から「減税の野田」への転換は、矛盾ではなく、成長なのです。

皆さんは、この野田佳彦という政治家の姿を見て、どう感じますか?
次回予告
次回は、中道改革連合のもう一人の共同代表、公明党の斉藤鉄夫について、詳しく解説します。
野田佳彦と斉藤鉄夫は、なぜ手を組んだのか?
その背景にある、日本政治の大きな転換を、お見せします。
お楽しみに!
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引用・参考文献
*1 日本経済新聞(2026年1月25日)「食品消費税ゼロ、来年度中にと高市首相=野田氏は今秋主張」
*2 中道改革連合 公式サイト「基本政策」
*3 朝日新聞(2012年6月25日)「野田首相、消費税増税法案の可決を『心底から』懇願」
*4 朝日新聞(2023年9月29日)「インボイス直前、後悔する野田元首相『11年前、決め切れていれば』」
*5 野田佳彦 公式サイト「プロフィール」
*6 Wikipedia「野田佳彦」


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